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作家の悩み百選 No.026

悩みを話せる、作家仲間がいない

「同じ悩みを話せるアーティスト仲間がいない」。同じ悩みの作家はどれくらいいるのかを数字で見て、仲間への一歩を考えます。

明るいカフェの白い壁に作品が飾られ、2人が並んで眺めている後ろ姿

こんな悩みはありませんか

「同じ悩みを話せるアーティスト仲間がいない」

値段のこと、展示のこと、この先も続けられるかという不安。家族や友人に話しても、なかなか分かってもらえない。

同じ立場で「わかる」と言ってくれる人が、近くにいない。一人で考えるうちに、同じ悩みを何度もくり返してしまう。

同じ作家の知り合いがいても、売れている人には弱音を吐きにくい。話せないまま抱えた悩みは、制作にも影を落とします。

ここで、ひとつ考えてみてください。あなたの悩みは、本当にあなた一人だけのものでしょうか。

値段に迷い、展示先に悩む作家は、全国にたくさんいます。ただ、その人たちと出会う機会が少ないだけです。

悩みを話せる相手がいるだけで、気持ちはずいぶん楽になるものです。

同じ悩みの作家は、
出会っていないだけ。

あなたが最後にほかの作家と悩みを話したのは、いつですか。

話せないままだと、どうなるか

作家同士が出会う場所は、どれくらいあるのでしょうか。

作家の集まりや仲間づくりの場の数を調べましたが、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

地方で制作している作家ほど、ほかの作家と顔を合わせる機会は少なくなりがちです。

作家が集まる会や研究会があっても、近くになければ、通い続けるのは難しいものです。

話せる相手がいないと、悩みは頭の中で大きくなっていきます。ほかの作家がどう乗り越えたかを知る機会もありません。

仲間がいないと、ほかの作家がどんな工夫をしているかも分かりません。自分のやり方が合っているのか、確かめる手がかりもないままです。

自分だけが立ち止まっているように感じ、同じ所をぐるぐる回るだけで、次の一歩が見えにくくなります。

同じ悩みを話せる相手がいれば、解決の糸口は意外と早く見つかります。けれど、その相手に出会う場所が、そもそも少ないのです。

一人で考えるほど、
悩みは重たくなっていく。

外から見てきた、わたしの感覚

明るいアトリエの大きな木の机で、2人の作家が作品を囲んでいる手元
作品を囲めば、話が始まる(イメージ)

わたしはアート業界の外から来た人間です。作家の方からは、よく似た悩みを聞きます。

どこで見てもらえばいいのか。どう売ればいいのか。新しい売り先のひらき方は、苦手な方が多いと感じています。

それは、作家の努力が足りないからではありません。描く力と、売る道をひらく力は、まったく別のものだからです。

外から見ていると、作家の悩みには似たものが多いと感じます。それなのに、一人ひとりが別々に同じ壁にぶつかっているのです。

わたしが大切にしているのは、ウィンウィン、もっと言えばウィンウィンウィンです。誰も嫌な思いをしない、みんなで良くなれる形をつくりたいのです。

作家同士も、同じだと思います。1人がつかんだ知恵を、ほかの作家と分け合う。そうすれば、みんなで少しずつ前に進めます。

作家が知恵を分け合い、みんなで市場をひらいていく。そうなれば、アート業界全体がもっと楽しくなると考えています。

悩みを分け合える場が増えれば、作家はもっと作品に集中できるはずです。

1人の知恵を、
みんなで分け合う。

数字で答え合わせ:美術の作家は、8割がひとり

「美術の作家は、ひとりで抱えやすい」。この感覚を、数字で確かめます。

組織に入らず全部ひとりで仕事をしている人の割合のグラフ。美術・写真・デザイン78.7%、メディア芸術54.3%、芸能実演家50.9%

組織に入らず、全部ひとりで仕事をしている人は、美術・写真・デザインの分野で78.7%でした。芸能の実演家の50.9%と比べても、ずっと多くなっています。

劇団や楽団のように、いつも一緒にいる仲間がいる分野とは違います。美術の作家は、相談できる相手を、自分から探さなければならないのです。

この感覚は、当たりでした。仲間がいないのは、あなたの人付き合いのせいではありません。美術という分野の、働き方の形なのです。

同じ入口に並ぶ作家同士は、競う相手であると同時に、同じ道を歩く仲間でもあります。

見方を変えれば、話の通じる相手は全国にいるということです。悩みを話せる仲間が1人できれば、悩みは「どう乗り越えたか」という知恵に変わります。

仲間がいれば、ギャラリーへの声のかけ方や、値段の付け方も、話し合って考えられます。打ち明けた相手から「わたしも同じだった」と言われるだけで、肩の力が抜けることもあります。

ある作家の悩みが、別の作家にとっては、もう越えた道だった。そんな出会いが、次の一歩を軽くしてくれます。

1人で抱えていた悩みも、仲間と分ければ、半分の重さになるかもしれません。

誰かの悩みは、
誰かがもう越えた道。

7ARTSで、一緒にできること

明るい展示会場の白い壁に、何人もの作家の色とりどりの作品が並んでいる
同じ場に作品を並べた作家とは、話が通じやすい(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。

作家同士がいつでも話せる仲間の場を、7ARTSが約束することはできません。仲間づくりは、作家自身が一歩を踏み出すところです。

そのうえで、7arts.jpには作家ごとのページがあります。ほかの作家のページを見れば、どんな作品をどう見せているかが分かります。話しかけるきっかけにもなります。

ほかの作家の見せ方や説明の言葉を見比べると、自分のページを整えるヒントも見つかります。話しかけるときは、相手の作品への敬意を言葉にすることから始めましょう。

まずは、ほかの作家の作品を見て回ることから始めてみてください。

モン・サン=ミッシェルでの展覧会のように、何人もの作家が同じ会場に作品を並べる場もあります。同じ場に作品を並べた作家とは、話が通じやすいものです。

7ARTSの外でも、地域の展示や公募の会場など、作家同士が顔を合わせる場は探せます。気になる場に、まず足を運んでみてください。

同じ悩みを持つ作家の声は、このブログでも1つずつ取り上げています。作家の悩み百選を読むことも、一人ではないと知る手がかりになります。

仲間への一歩は、
あなたから踏み出す。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。話したい悩みを1つ書く、気になる作家を1人選ぶ、その作家に短い感想を送る
今日、作家がやること

いま、いちばん話したい悩みを1つ書き出してみてください。値段、展示、続けること。何でもかまいません。

次に、気になっている作家を1人選びます。SNSでも、展示で見た作家でもかまいません。

最後に、その作家の作品に、短い感想を送ってみてください。「この色が好きです」の一言で十分です。仲間づくりは、悩みを話す前の、小さな感想から始まります。

返事がなくても、気にしなくてかまいません。感想を送り続けるうちに、言葉を交わせる作家が、1人は見つかるはずです。

感想を送った作家とは、いつか展示の場で会えるかもしれません。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • ひとりで仕事をしている人:「芸術家等のセーフティネットに関する2万人アンケート」文化芸術推進フォーラム・日本芸術文化振興会(2023年)