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作家の悩み百選 No.039

補助金や公募の情報が、届かない

「補助金や助成金、公募の情報が手に入らない」。情報が届きにくい理由と、自分から取りにいく方法を考えます。

明るい木の机に手帳とノートパソコンが開かれ、白い壁に描き上げた作品が飾られている

こんな悩みはありませんか

「補助金や助成金、公募の情報が手に入らない」

知り合いの作家が、助成金を受けて個展を開いたと聞く。そんな募集があったことさえ、自分は知らなかった。

公募の締め切りに気づいたのは、締め切りの翌日。もっと早く知っていれば、出したい作品があったのに。

作家の方からも、この悔しさはよく聞きます。情報を知っているかどうかで、挑戦できる機会の数が変わってしまうからです。

しかも、募集の案内は、言葉も手続きも難しく見えます。見つけても、自分が対象になるのかどうか分からず、そのまま閉じてしまう。

募集の数は少なくないはずなのに、自分のところには届かない。そんな気持ちが続くと、挑戦すること自体をあきらめてしまいます。

ここで、ひとつ考えてみてください。情報は、待っていれば届くものでしょうか。それとも、取りにいくものでしょうか。

知らなかった機会は、
最初からなかったのと同じ。

あなたは、情報が届くのを待っていませんか。

待っているだけだと、どうなるか

まず、文化の情報が届きにくい人が、どれくらいいるかを見てみます。

文化庁の調査で、住む地域の文化的な環境に満足していない人に、理由を聞いています。

「近くに文化施設がない」が27.5%でした。いちばん多いのは「魅力的な活動・イベントがない」の54.0%です。

場が集まる所には、人も、情報も集まります。地方で制作している作家ほど、募集の話を耳にする機会は少なくなりがちです。

作家のうち、補助金や助成金を使ったことがある人は何%なのか。調べましたが、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

それでも、情報を知らないまま過ごせば、挑戦できる機会を毎年見送ることになります。応募すれば選ばれたかもしれない作品も、手元に残ったままです。

公募や助成は、作家にとって、作品を見てもらう場であり、経歴を積む場でもあります。その入口を知らないまま過ごすのは、もったいないことです。

情報が届かないことは、作家の努力が足りないからではありません。ただ、届くのを待つだけでは、差は広がっていきます。

場が集まる所に、
情報も集まる。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい小さなギャラリーに入っていく人の後ろ姿と、白い壁に並ぶ色あざやかな作品
つながりの中で、機会が動いている(イメージ)

わたしはアート業界の外から来た人間です。外から見ていて、感じてきたことがあります。

一般の人がアートに出会う場は、とても少ない。作家の友人がいるか、アートの世界にいる人でなければ、触れる機会がほとんどない。これが、わたしの感覚です。

そして、作家にとっての情報も、似ているのかもしれません。募集の話は、つながりの中を人づてに流れていくことが多いように、外からは見えます。

つながりの外にいる作家には、その話が届きにくい。作品の良し悪しとは関係なく、知っているかどうかで機会が分かれてしまいます。

作品を見てもらう場が少ないことと、情報が届かないこと。この2つは、同じ根っこから生まれているのかもしれません。

だからこそ、作家自身が本気になって、情報を取りにいくことが大切です。誰かが教えてくれるのを待つのではなく、自分から窓口を見に行く。その一歩が、機会の数を変えます。

出会えないのは、
つながりの外にいるから。

数字で答え合わせ:相談の窓口が、足りない

この感覚を、数字で確かめます。芸術家などに、活動を続ける上での課題を聞いた調査があります。

活動を続ける上での課題のグラフ。仕事が不定期で不安定61.3%、老後の年金が十分でない49.0%など

「契約に係る揉め事やトラブルの相談窓口がない」と答えた人は21.1%でした。仕事の不安定さや保険の悩みに比べると少なく見えますが、5人に1人です。

困ったときに聞ける窓口を、持たない作家は少なくありません。情報も、相談も、つながりのある人のところに集まりがちです。

「情報は、つながりの中を流れている」という感覚は、一部当たりです。相談の窓口を持たない作家がいることは、数字から読み取れます。ただ、情報の流れ方そのものは、数字では確かめられません。

それなら、つながりに頼らず、公の窓口から直接情報を取る習慣が力になります。国や自治体、文化の団体は、募集の案内を広く公開しています。

情報を取りにいく作家は、毎年いくつもの機会を自分で選べるようになります。締め切りに追われるのではなく、出したい作品を準備して待てるようになります。

情報を取りにいく人に、
機会は増えていく。

7ARTSで、一緒にできること

明るいアトリエのイーゼルに描き上げた色あざやかな作品があり、木の机に無地のファイルが整えて置かれている
締め切りに向けて、作品を準備する(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。補助金や助成金、公募の情報をまとめて届ける仕組みを、7ARTSは持っていないからです。

そのうえで、作家が今日からできることがあります。まず、住んでいる自治体の、文化や芸術の担当の窓口を調べることです。地域の作家向けの支援や展示の募集が、案内されていることがあります。

国の文化の支援については、文化庁や、日本芸術文化振興会のサイトで、助成の案内を確かめられます。募集の時期は毎年決まっていることが多いので、一度見ておくと翌年の準備ができます。

公募展は、美術の雑誌や、公募をまとめて紹介しているサイトでも探せます。気になる募集を見つけたら、要項を最後まで読み、条件を確かめてください。

申請の書類や、受け取ったお金の扱いで迷うこともあるでしょう。そのときは、募集している窓口に問い合わせるのがいちばん確実です。税金の扱いは、税理士に相談してください。

情報を取りにいくのは、作家自身です。そのうえで、作品を見てもらう場所づくりは、7ARTSと一緒に進められます。

情報は取りにいく。
場所は一緒につくる。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。自治体の文化の窓口を調べる、文化庁などの助成の案内を見る、気になる募集の締め切りを手帳に書く
今日、作家がやること

住んでいる自治体の名前と「文化」「芸術」という言葉で、担当の窓口を調べてみてください。

次に、文化庁や日本芸術文化振興会のページを開き、どんな助成があるかを一度だけ眺めてください。すぐに応募しなくてかまいません。どんな募集があるかを知るだけで十分です。

最後に、気になった募集を1つ選び、締め切りを手帳やカレンダーに書いてください。締め切りから逆算すれば、準備を始める日が決まります。

1つの募集に向けて準備をすれば、次の募集にも同じ準備が生かせます。続けるうちに、情報を集めることが当たり前になっていきます。

情報は、待つより取りにいくほうが早く届きます。締め切りを1つ書いた日から、あなたの挑戦の準備は始まっています。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)
  • 活動を続ける上での課題:「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関するアンケート調査」文化芸術推進フォーラム・日本芸術文化振興会(2021年)