
こんなことはありませんか
「契約書の読み方が分からず、不利な条件で受けてしまう」
せっかく来た依頼だから、断りたくない。細かい文字を読むのは苦手で、よく分からないまま名前を書いてしまう。
あとになって、思っていたより報酬が少なかった。作品が知らない場所で使われていた。そんな話は、作家の方から時々聞きます。
契約書は、作家を縛るためのものではありません。お互いの約束を、文字で残すためのものです。
相手との関係を壊したくない気持ちも、よく分かります。だからこそ、受ける前の確かめ方を知っておきたいのです。
ここで、ひとつ考えてみてください。その依頼で、あなたが何を約束したのか、ひとことで言えますか。
言えないなら、その約束は、相手の言葉だけで決まっているのかもしれません。
名前を書く前に、
約束の中身を読む。
あなたは、読まずに名前を書いたことはありませんか。
よく読まずに受けると、どうなるか
作家が契約でどれくらい困っているか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。
ただ、作家が依頼を断りにくい理由は、数字から見えてきます。
そのかわり、仕事を受けるフリーランスへの国の調査があります。2024年11月に始まった、フリーランスを守る法律の内容を「知らない」人は76.3%でした。作家に限った数字ではありません。
自分を守る決まりを知らないまま、依頼を受けている人が多いのです。1つの依頼が貴重に思えるほど、条件が少し気になっても、断れずに受けてしまいます。
けれど、報酬の額、支払いの日、作品の使われ方は、どれも契約に書かれた条件で決まります。一度受けた条件を、あとから変えるのは簡単ではありません。
報酬が見合わない仕事を続けると、作る時間がその仕事に取られます。自分の作品に向き合う時間が、少しずつ減っていきます。
不利な条件を一度受けると、次の依頼も同じ条件で来やすくなります。困るのは、受けたその日ではなく、何か月もあとです。
そうした依頼が続くと、作家自身が思い込んでしまうこともあります。「自分の作品は、この程度の値段なのだ」と。
入口が少ないほど、
条件を見ずに受けてしまう。
作家の方から、よく聞く場面

作家の方から、こんな話を聞くことがあります。
お店から、壁に飾る絵を頼まれた。報酬の話はしたが、作品をどこまで使ってよいかは決めていなかった。
しばらくして、その絵がお店のチラシや包装紙にも使われていた。言い出しにくくて、結局そのままにしてしまった、という話です。
相手も、悪気があったわけではないのかもしれません。決めていなかったから、お互いの思い込みがずれたのです。
もし最初に「チラシにも使いたい」と聞いていれば、作家はその分の報酬を相談できました。お店も、気持ちよく使えたはずです。
言い出しにくさを残したままでは、次の依頼も頼みにくく、受けにくくなります。せっかくの縁が、細くなってしまうのです。
わたしの商売の基本は、関わる全員がうれしい形にすることです。作家も、頼む人も、作品を見る人も、誰も嫌な思いをしない形が一番だと考えています。
そのためには、最初に約束を文字にしておくことが欠かせません。条件を確かめるのは、良い関係を長く続けるための準備です。
確かめることは、
疑うことではない。
答え合わせ:依頼を逃したら、次は無いのか
断れずに受けてしまう背景には、「この依頼を逃したら次は無い」という思いがあります。本当にそうなのか、確かめようとしました。
けれど、作家への依頼がどれくらいあるのかを調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。
それでも、作品が求められる場面は1つではありません。飾る、使う、贈る。いろいろな形で、作品は必要とされています。
「条件を確かめても、作品の行き先はなくならない」という見方は、今回は確かめられませんでした。依頼の数の調査が無いからです。ただ、断ることで失うものより、納得できない条件で受けて失うもののほうが、大きいこともあります。
条件を確かめてから受ける習慣がつくと、不安な依頼に振り回されなくなります。
断ったら次は無い、と思い込むほど、条件は目に入らなくなります。作品が求められる場面の広さを知れば、落ち着いて条件を読めます。
飾る絵の依頼だけでなく、記念の品や贈り物の依頼もあります。作品の行き先は、1つの依頼に限られません。
約束が文字で残っていれば、困ったときも落ち着いて話し合えます。納得して受けた仕事なら、気持ちよく作品に向き合えます。
納得して受けた仕事は、
作品にも表れる。
7ARTSで、一緒にできること

正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。契約書を読んで、条件を判断する仕組みは、7ARTSにはありません。
そのかわり、依頼を受ける前に作家が確かめたいことを、一般的な目安として書いておきます。
- 何を、いつまでに作るのか
- 報酬はいくらで、いつ、どうやって払われるのか
- 作品や画像を、どこで、どれくらいの期間使うのか
- 作品の権利を渡すのか、使うことを許すだけなのか
4つのどれかが書かれていなければ、受ける前に相手に聞いてかまいません。
聞くときは、責める言い方ではなく、確認として伝えれば十分です。誠実な相手ほど、丁寧に答えてくれるはずです。
ここに挙げたのは、一般的な目安です。依頼の中身によって、確かめるべきことは変わります。
4つがそろっていれば、依頼を受けたあとに迷うことも減ります。
条件の良し悪しの判断は、弁護士などの専門家に相談してください。国が用意した無料の相談窓口「フリーランス・トラブル110番」もあります。
迷ったら、受ける前に
専門家の目を借りる。
今日、ひとつだけやってみてください

上の4つを、スマホのメモに書いておいてください。
次に依頼が来たら、返事をする前に、そのメモと見比べます。書かれていない所があれば、相手に聞いてから決めます。
聞きにくいときは、「大切に作りたいので、条件を確かめさせてください」と伝えてみてください。
最初は聞きにくくても、2回、3回と続けるうちに、確かめることが当たり前になります。
確かめる習慣は、作家としての信頼にもつながります。
迷ったら、名前を書く前に専門家に相談します。4つを確かめてから受ける。それだけで、あとで困る依頼はぐっと減ります。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- フリーランスの取引:公正取引委員会・厚生労働省「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)結果 概要」(2024年10月)



