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作家の悩み百選 No.049

作品の置き場が、足りない

「作品の保管場所が足りない」。押し入れで眠る作品と、どう向き合うか。保管の工夫と、作品を外に出す考え方をまとめました。

明るいアトリエの壁ぎわに、描き上げた作品が何枚も立てかけられている

こんな悩みはありませんか

「作品の保管場所が足りない」

描くほど、部屋が作品で埋まっていく。押し入れも、ベッドの下も、もういっぱい。

新しい作品を作りたいのに、作る場所まで狭くなっていく。湿気や日焼けで、作品が傷まないかも心配になる。

作品は、作家にとって子どものような存在です。簡単に手放すこともできません。

捨てることも、譲ることもできない。気がつけば、作品の量に追いかけられるように暮らしています。

それでも、作るのをやめることはできません。作りたい気持ちは、置き場所とは関係なく湧いてくるからです。

ここで、ひとつ考えてみてください。押し入れの中の作品は、誰かに見てもらう日を待っていませんか。

保管の悩みは、置き場所の悩みに見えて、実は作品の行き先の悩みでもあります。

しまってある作品は、
出番を待っている。

あなたの作品は、今どこで眠っていますか。

しまったままにすると、どうなるか

作家の作品の保管について、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、作品が外に出ていく機会が限られていることは、多くの作家が感じていることでしょう。

展示の会期が終われば、作品はまたアトリエに戻ってきます。売れなかった作品は、押し入れや棚の奥に積み重なっていきます。

展示の機会が限られると、作品は作ったそばから手元に積み上がります。展示が終われば、またアトリエや部屋に戻ってきます。

しまったままの作品は、誰の目にもふれません。見てもらえなければ、選ばれることもありません。

保管が長くなるほど、湿気や日焼けで作品が傷む心配も増えます。誰にも見られないまま作品が古びていくのは、とてももったいないことです。

さらに、置き場所に追われると、新しい作品を作る気持ちまで重くなります。積み上がった作品を見て、描く手が止まってしまう作家もいます。

作品を外に出す道がなければ、作るほど部屋は狭くなります。作る喜びと、置き場所の悩みが、いつも隣り合わせになるのです。

積み上がるほど、
描く手は重くなる。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい部屋で、押し入れから出した色あざやかな作品を白い壁に立てかけて眺める人の後ろ姿
眠っていた作品に、光が当たる(イメージ)

わたしは、初めて本物の作品の前に立ったとき、アートの力を思い知らされました。

外から見ていて思うのは、一般の人がアートに出会う場は少ない、ということです。

作家の友達がいたり、アートの世界の近くにいたりしなければ、触れる機会がありません。見る場所に作品が無ければ、出会いは起きないのです。

作家の方から、こんな話を聞くこともあります。何年も押し入れにあった作品を、知り合いのお店に飾ってもらった。すると「この絵はどなたの作品ですか」と聞かれた、という話です。

眠っていた作品にも、出会う場所さえあれば、心を動かされる人がいるのです。

売れていない作家の中にも、本当にすてきな作品を描く人がたくさんいます。その作品が、まだ新しい市場に届いていない。押し入れの中には、そんな作品が眠っているのではないでしょうか。

欲しいと思えば買えるお金を持っている人は、たくさんいます。足りないのは、作品を見てもらえる環境です。

置き場所を広げることも大切です。ただそれ以上に、作品を外に出し、誰かの部屋やお店に届けていく。そうすれば、保管の悩みは、作品が届く喜びに変わっていくはずです。

しまう場所より、
飾られる場所を増やす。

数字で答え合わせ:見に出かける人は、半分に届かない

この感覚を、数字で確かめます。文化庁の調査で、この1年に文化芸術を外へ出て見た人を聞いています。

外へ見に出かけた人は45.3%で、前の年の52.2%から減っていました。

作品を見に出かける人は、半分に届きません。押し入れの作品が、見たい人と出会う機会も、それだけ限られているのです。

「足りないのは見てもらえる環境」というわたしの感覚は、当たりでした。出会う場所さえ増えれば、作品の行き先は見えてきます。

作品が1点ずつ外へ出ていけば、部屋に空きが生まれます。その空きが、次の作品を作る場所になります。

押し入れの作品を1点外に出すことは、誰かの部屋の壁を1つ彩ることにつながるかもしれません。

作品が誰かの部屋に飾られれば、作家にとっては、作品が今も生きているという手ごたえにもなります。

押し入れの作品を外に出すことは、手放すこととは違います。作品に、もう一度出番をつくることです。

作っては届け、届けてはまた作る。作品が循環し始めると、保管の悩みは小さくなり、作品と向き合う時間が増えていきます。

作品が旅立つたびに、
次の作品の場所ができる。

7ARTSで、一緒にできること

明るい部屋の木の棚に、立てて並べた作品と、一覧を書いたノートを持つ手元
しまい方を整える(イメージ)

正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。作品を預かって保管する仕組みは、7ARTSにはありません。

そのかわり、作家が今日からできる保管の工夫を書いておきます。

  • 作品の一覧を作り、どこに何があるか分かるようにする
  • 湿気と直射日光を避け、床から少し離して立てて置く
  • 作品と作品のあいだに、やわらかい紙をはさんで重ねる
  • 大きな作品や数が多いときは、温度や湿度を管理する保管サービスを調べる

保管にかかる費用や、作品にかける保険の考え方は、条件によって変わります。保管サービスの会社や保険会社、税理士などの専門家に相談してください。

作品の一覧があれば、どの作品を外に出すかも選びやすくなります。保管の工夫は、届ける準備にもなるのです。

一覧には、題名、大きさ、作った年、しまった場所を書いておくと便利です。

保管の工夫と同時に、眠っている作品を1点ずつ外へ出していく。それも、置き場所の悩みを小さくする一つの道です。

しまい方を整え、
出し方も考える。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。しまってある作品を1点出す、明るい場所で写真を撮る、飾ってほしい場所を一言添える
今日、作家がやること

しまってある作品の中から、1点だけ出してみてください。長く眠っていた作品ほど、今の目で見ると新しい発見があります。

次に、昼の明るい場所で、その作品の写真を撮ります。正面から、まっすぐに。

最後に、その作品を飾ってほしい場所を、一言書き添えてください。玄関、寝室、お店の入口。

写真と一言がそろえば、作家ページに載せる準備も整います。

1点ずつでかまいません。続けるうちに、押し入れの中が少しずつ、出番を待つ作品の棚に変わっていきます。

1点を外に出すことが、眠っていた作品と、まだ見ぬ持ち主をつなぐ最初の一歩です。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)