
こんな気持ちはありませんか
「家事と制作の両立で、いつも中途半端」
朝は家族を送り出し、洗濯と買い物を済ませる。やっと筆を持てたと思ったら、もう夕食の支度の時間だ。
描きかけの作品は、何週間も同じ所で止まっている。家事も制作も、どちらも半分ずつしかできていない気がする。
ここで、ひとつ考えてみてください。中途半端なのは、時間でしょうか。それとも、何を仕上げるかを決めていないことでしょうか。
短い時間でも、仕上げる作品が決まっていれば、少しずつ前に進みます。決まっていないと、毎回どこから始めるかで、時間が消えていきます。
家族のために使う時間を、後ろめたく思う必要はありません。ただ、自分の作品のための時間を、自分で守れているかは、問い直してみる価値があります。
足りないのは時間より、
決めること。
あなたは、今週どの作品を、どこまで進めるか決めていますか。
中途半端なまま続けると、どうなるか
家事と制作を両立している作家が、どれくらいいるのか。制作にどれくらいの時間を使えているのか。全国の調査を探しましたが、見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。
それでも、作家の方からよく聞く場面があります。描きかけの作品が何点もたまり、どれも仕上がらないまま、季節が変わっていく場面です。
仕上がらない作品は、誰にも見せられません。見せられなければ、選ばれる機会も生まれません。
やがて「どうせ時間がないから」と、描くこと自体を後回しにするようになります。中途半端という気持ちは、作品を見せる勇気まで少しずつ削っていきます。
家事は、毎日終わりがありません。終わりのない仕事の合間に描くからこそ、仕上げる所を決めておくことが大切です。決めないと、作品はいつまでも描きかけのままです。
描きかけの作品が増えるほど、どれから手をつけるか迷う時間も増えていきます。迷う時間が、描く時間をさらに削っていきます。
時間が限られているのは、多くの作家に共通することです。だからこそ、限られた時間の使い方が、そのまま作品の数と行き先を左右します。
仕上がらない作品は、
誰にも出会えない。
外から見てきた、わたしの感覚

わたしは50歳を過ぎて、初めてアートを買いました。その日、実物の前に立って、アートの力を思い知らされました。
あのとき感じたのは、原画の力でした。一目惚れで、目の前の1点に心をつかまれたのです。
買う人が出会うのは、仕上がった作品です。制作の量や時間は、買う人からは見えません。
だから、時間が限られている作家こそ、仕上げる1点を決めることが大切です。たくさん描けなくても、1点が誰かの心を動かせば、作品は届きます。
買う人に見えるのは、仕上がった作品と、そこに込められた思いです。限られた時間で描いたことは、作品の価値を下げる理由にはなりません。
家事の合間に描かれた作品も、アトリエで描かれた作品も、壁に飾られれば同じ作品です。見る人にとって大切なのは、その作品と出会えたかどうかです。
買う人が出会うのは、
仕上がった作品。
答え合わせ:仕上がった1点は、届くか
この感覚を、数字で確かめようとしました。
けれど、仕上がった1点と描きかけの何点か、どちらが人に届くのか。それを比べた全国の調査には、たどり着けませんでした。
多くの人は、目の前の作品を見て、暮らしに置きたいと思って買っています。作家がどれだけの時間をかけたかで、決めているわけではありません。
わたしが作品を買ったとき、心をつかまれたのは、目の前に仕上がって掛かっていた1点でした。「目の前の1点に心をつかまれて買う人は多い」という感覚は、今回は確かめられませんでした。それでも、仕上がらない作品は、誰の心もつかめません。
仕上げる1点を決めて、限られた時間をそこに注ぐ。1か月に1点でも、仕上がった作品は、見せる場所に並べられます。
家事の手を止めた15分が、少しずつ1点に積み重なる。その1点が誰かの部屋に飾られた日、中途半端だと思っていた時間は、作品の時間だったと分かります。
家族の暮らしを支えながら描いた作品には、その人にしか描けない日々が映ります。台所の窓の光、季節の花、家族の気配。身近な題材は、見る人の暮らしにも寄り添います。
15分の積み重ねが、
誰かの部屋に届く。
7ARTSで、一緒にできること

先に正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。家事の負担を減らしたり、制作の時間を増やしたりする仕組みは、7ARTSにはないからです。
そのうえで、作家が今日からできることがあります。1週間の予定を書き出し、15分でも描ける時間を、先に決めて押さえることです。
家事の分け方は、家族と話し合ってみてください。描く時間を「空いたら使う時間」ではなく、「決まった時間」にするだけで、続けやすくなります。
家族が寝静まったあとの短い時間を、描く時間と決めて続けている。そんな話も、作家の方からよく聞きます。短くても決まった時間があることが、支えになるそうです。
作品の行き先が決まっていると、描く手は進みやすくなります。誰かに見てもらう日を先に決めておくのも、ひとつの方法です。
仕上がった作品は、7arts.jpの作家ごとのページで見てもらうこともできます。
家事や子育ての負担が重いときは、自治体の子育てや家事の支援の窓口に相談するのもひとつです。
描く時間は、
空くのを待たずに決める。
今日、ひとつだけやってみてください

描きかけの作品の中から、今月仕上げる1点を決めてみてください。いちばん完成に近い作品で大丈夫です。
次に、1週間の中で、15分でも描ける時間を3つ見つけて、予定に書き込みます。朝の家事のあと、昼食の前、夜の片付けのあと。
最後に、その時間は、決めた1点だけに向き合ってください。仕上げる1点が決まると、短い時間が、作品を前に進める時間に変わります。
ほかの作品に手を広げたくなっても、今月は1点だけ。仕上がった喜びが、次の1点へ向かう力になります。
仕上がったら、その作品を写真に撮って、家族に見せてみてください。いちばん近くで支えてくれる人に完成の喜びを分けることも、続ける力になります。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- 買った理由:「日本のアート産業に関する市場調査2021」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(文化庁委託事業)



