
こんな気持ちはありませんか
「会社では、絵を描いていることを誰にも言えない」
平日は会社で働き、夜と週末に絵を描く。制作の時間は、一日の中でいちばん自分らしくいられる時間だ。
それでも、職場では誰にも話していない。笑われたらどうしよう。仕事に身が入っていないと思われたらどうしよう。
制作のことを話せないまま、作品だけが静かにたまっていく。誰にも言えない分、続ける理由も自分の中だけで支えることになります。
休み明けに「週末は何をしていたの」と聞かれ、とっさに「家でのんびり」と答えてしまう。そんな場面を、作家の方からよく聞きます。
ここで、ひとつ考えてみてください。いちばん身近な人たちが、あなたの作品を一度も見たことがないのではないですか。
黙っていることが悪いのではありません。ただ、作品にとっては、見てもらえる機会を1つ逃しているとも言えます。
毎日会う人ほど、
あなたの作品を知らない。
あなたは、作品のことを話せる相手が、職場に1人でもいますか。
黙ったままだと、どうなるか
会社員の作家が、職場で制作を話しているかを調べた全国の調査は、見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。
代わりに、作品をつくる人の数を見てみます。文化庁の調査で、この1年に文学・音楽・美術などの作品を「創作した」人を聞いています。
答えた人は2.9%でした。あなたの職場でも、作品をつくっている人は、ほとんどいないはずです。
作る人が少ないからこそ、話しにくい。けれど、それは珍しい存在だということでもあります。
アートが身近にない人にとって、作家は遠い存在です。だから「絵を描いている」と言いにくく感じるのかもしれません。
ただ、黙ったままでいると、身近な人がアートに出会うきっかけも生まれません。同じ職場の人たちは、作品に出会っていないだけかもしれないのです。
まだアートを買ったことのない身近な人は、これから作品と出会うかもしれない、大切な人たちです。
作品を知られないまま年月が過ぎれば、制作はずっと「誰にも言えないこと」のままになります。
言えないままでは、
作品は隠れたまま。
外から見てきた、わたしの感覚

わたしはアート業界の人間ではありません。50歳を過ぎるまで、アートにそれほど興味はありませんでした。
外から見ていて思うのは、一般の人にはアートに出会う場が少ないということです。
欲しいと思えば買えるお金を持っている人は、たくさんいます。けれど、出会う場が無ければ、作品を買うきっかけも生まれません。足りないのは、アートを見てもらえる環境です。職場も、その環境の1つになり得ます。
作家の友人がいなければ、一般の人がアートに触れる機会はほとんどありません。これが、業界の外にいたわたしの実感です。
裏返せば、あなたは職場の誰かにとって、初めての作家の知り合いになれる人です。
職場は、毎日たくさんの人と顔を合わせる場所です。そこに1人でも作品を知る人がいれば、出会いの輪は少しずつ広がります。
もちろん、話すかどうかは、あなたが決めることです。会社の雰囲気や、仕事との兼ね合いもあるでしょう。
ただ、もし1人でも作品を見せられる相手がいれば、その人にとっての出会いになるかもしれません。わたしが実物の作品に出会い、心をつかまれたときのように、です。
あなたが、
誰かの初めての作家になる。
数字で答え合わせ:作る人は少なく、楽しむ人は多い
では、職場の人は、どんな楽しみを持っているのでしょうか。総務省の調査で、10歳以上の人が過去1年に何をしたかを聞いています。
趣味や娯楽を楽しんだ人は86.3%でした。ほとんどの人が、何かしらの楽しみを持っています。
特別な収集家だけが買っているのではありません。職場の同僚のように、ふだんアートと縁のない人も、きっかけがあれば作品を選びます。
記念品やプレゼントとして作品を選ぶ人もいます。同僚の退職祝いや、取引先への贈り物に、知り合いの作家の作品を選ぶ。そんな出会い方もあるでしょう。
「作家の友人がいなければ、アートに触れる機会がない」という感覚は、一部当たりです。作品をつくる人が少ないことは、数字で確かめられました。楽しみを持つ人の中に、アートに触れたい人がどれくらいいるかまでは分かりません。
作品のことを話せる相手が1人できれば、制作は人に話せる楽しみに変わります。感想をくれる人が身近にいれば、描く時間にも張り合いが出ます。
同僚の机に、あなたの小さな作品が飾られる。そんな日が来れば、職場は作品を見てもらえる場所の1つになります。
隠す制作から、
分かち合う制作へ。
7ARTSで、一緒にできること

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。職場で話すかどうかは、作家ご本人が決めることだからです。
そのうえで、今日からできることを3つ挙げます。
1つ目は、会社の決まりを確かめることです。作品を売るなら、副業がどう扱われているかを先に見ておきましょう。分からなければ、人事の担当者に相談してください。
2つ目は、話せる相手を1人だけ選ぶことです。全員に話す必要はありません。気心の知れた同僚に、スマホの写真で1枚見せるところから始められます。
3つ目は、作品の売上が出たときの税金です。会社員の副業の扱いは人によって違うので、税理士など専門家に相談してください。
作品を売るかどうかと、作品を見せるかどうかは、別の話です。決まりを確かめ、準備ができてから、自分の言葉で伝えればいいのです。
小さな一言が、
作品の扉をひらく。
今日、ひとつだけやってみてください

まず、会社の就業規則を開いて、副業についての決まりを確かめてみてください。作品を売るかどうかを考える前の、大切な準備です。
次に、作品を見せてもいいと思える人を、職場の中から1人だけ思い浮かべます。
最後に、その人に見せる1枚を選んでおきましょう。いちばん自信のある作品より、話のきっかけになりやすい作品がおすすめです。
選んだ作品は、スマホに入れておくだけで十分です。話の流れで聞かれたときに、すぐに見せられます。
見せる1枚が決まれば、言えなかった制作が、話せる制作に変わり始めます。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)
- 美術鑑賞の行動者率:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」(2022年8月)



