
こんな心当たりはありませんか
「どの作品をいつ誰に渡したか、記録が残っていない」
展示で売れた作品、知り合いに譲った作品、お礼に贈った作品。そのときは覚えているつもりでも、何年かたつと思い出せなくなる。
手元に残っているのは、ぼんやりした記憶だけ。経歴をまとめようとして、手が止まった経験はないでしょうか。
経歴の欄の前で「確か、あの年に…」と記憶をたどる。その時間の長さが、記録の無さを物語っています。
ここで、ひとつ考えてみてください。あなたの作品を持っている人を、今すぐ何人言えますか。
記録は、作品の行き先を知るためだけのものではありません。作家としての歩みそのものです。
記録が無いと、
歩んできた道が消えていく。
作った作品の数だけ、出会いがありました。その出会いが、名前も日付もないまま、少しずつ忘れられていきます。
あなたは、自分の作品の行き先を、どこかに書き残していますか。
記録が無いままだと、どうなるか
作品の記録を残している作家が何%いるか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。
ただ、作品を買ってくれた人が、作家にとってどれほど大切な存在かは、言うまでもありません。
気に入って買ってくれた人は、もう一度買ってくれるかもしれない大切なお客さんです。作家を応援したくて買う人も、確かにいます。
けれど、誰が買ってくれたかが分からなければ、新作ができても知らせることができません。展示の案内を送る相手も、思い出せません。
記録が無いと、困ることはほかにもあります。経歴に書ける展示や販売の実績が、あいまいになります。
同じ作品の写真が見つからず、次の売り場に載せられないこともあります。手放した作品ほど、写真が残っていないものです。
公募や展示に応募するときも、経歴を書く欄があります。そこに何を書けるかは、残してきた記録しだいです。
1点ずつは小さなことでも、何年分も積み重なれば、取り戻せない大きな空白になります。
買ってくれた人は、
次のお客さんでもある。
外から見てきた、わたしの感覚

わたしはアート業界の外から来た人間です。外から見ていて、ずっと気になっていたことがあります。
これまで作品は、ギャラリーや画商が売ってきました。その売り方では、お客さんはギャラリーにつき、作家にはつきにくい。
取り扱いが終わった途端に、売れなくなる作家もいます。作家が、自分のお客さんを持っていないからではないか。これが、わたしの感覚です。
では、作家が自分のお客さんを持つには、何から始めればよいでしょうか。身近なところでは、誰に、どの作品が渡ったかを残しておくこともその一つです。
記録があれば、作品を持っている人に新しい作品を知らせられます。記録が無ければ、出会いはその日で終わってしまいます。
ギャラリーが悪いわけではありません。作家も、ギャラリーも、作品を買う人も、みんなが喜べる形がいちばんです。
そのうえで、作家が自分でお客さんを持ち、直接届けられる環境を持つこと。それが、これからは欠かせないと考えています。
記録は、作家とお客さんを結ぶ、細くても丈夫な糸です。
覚えていてくれる作家に、
人はまた会いに来る。
答え合わせ:買った人と、つながり続けているか
この感覚を、数字で確かめようとしました。
けれど、作品を買った人が、そのあとも作家とつながり続けているのか。それを調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。
買う人がまだ少ない今、一度買ってくれた人は、とても貴重な存在です。その人を覚えているかどうかで、次につながるかが変わります。
それでも、作品を気に入って買ってくれた人の中には、作家その人を応援したいと思う人もいるはずです。
「作家が自分のお客さんを持っていない」という感覚は、今回は確かめられませんでした。ただ、記録が無ければ、お客さんとつながり続けることは、そもそもできません。
記録が残っていれば、新作の知らせを、作品を持っている人へ直接届けられます。何年かたって、「あの作品を買った者です」と声をかけてもらえる日も来るかもしれません。
記録は、過去を振り返るためだけの物ではありません。これから先の出会いを、自分の手で増やしていくための土台です。
記録の形は、立派な帳面でなくてかまいません。紙1枚でも、スマートフォンのメモでも、続けられる形がいちばんです。
記録は、
次の出会いへの地図になる。
7ARTSで、一緒にできること

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。作品をいつ誰に渡したかを、作家の代わりに記録する仕組みはありません。
そのうえで、記録を残しやすくするためにできることがあります。
7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、これまで作ってきた作品が、1つのページにまとまっていきます。
作品証明書もあります。作品に証明書を添えて渡せば、作品の確かな記録が残ります。
サイトからは、購入やオファーが作家のもとに届きます。届いた知らせを自分の帳面に書き写せば、行き先の記録が少しずつ増えていきます。
記録が整えば、作家ページに載せる作品を選ぶときにも役立ちます。どの作品が手元に残っているかが、ひと目で分かるからです。
ただ、記録をつけるのは作家自身です。名前や連絡先などの個人の情報は、本人の了承を得てから、大切に扱ってください。扱い方で迷ったら、弁護士など専門家に相談してください。
並べる場所は一緒に。
書き残すのは、あなた。
今日、ひとつだけやってみてください

今日は、覚えている範囲でかまいません。この1年で手放した作品を、紙に書き出してみてください。
作品の名前、渡した日、渡した相手。分からない所は空けたままで大丈夫です。
次に、その作品の写真が手元にあるかを確かめます。無ければ、持ち主に1枚送ってもらえないか、聞いてみてください。
最後に、これから渡す作品は、渡したその日に1行だけ書き足すと決めてください。1行の積み重ねが、あなたの作家としての歩みになります。
書き出した一覧は、作品の写真と一緒に、1か所にまとめて保管してください。何年かたって見返したとき、その一覧があなたを助けてくれます。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- 買った理由:「日本のアート産業に関する市場調査2021」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(文化庁委託事業)
- 作品を買ったことがある人の割合(約16%):「日本のアート産業に関する市場調査2018」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(2019年3月4日発表・約2万人を対象)



