すべての記事

作家の悩み百選 No.099

学校の課題の作品、売っていい?

「学校の課題で作った作品を、売っていいのか分からない」。売る前に確かめたいことと、相談先をまとめます。

明るい美術室で、イーゼルに立てた作品に向かう学生の後ろ姿

こんな迷いはありませんか

「学校の課題で作った作品を、売っていいのか分からない」

授業の課題で描いた作品が、思いのほかよく描けた。展示で褒められ、欲しいと言ってくれる人まで現れた。

けれど、学校の課題として作った作品を、自分の作品として売っていいのか分からない。先生に聞くのも、なんとなく気が引ける。

友人に聞いても、答えはまちまち。「大丈夫だよ」と言う人もいれば、「やめたほうがいい」と言う人もいる。

ここで、ひとつ考えてみてください。その作品の扱いについて、学校はどう決めているのでしょうか。

作品の扱いは、学校の決まりや、課題の条件によって違うことがあります。だからこそ、売る前に一度立ち止まって調べることが大切です。

思い込みで決めず、
まず確かめる。

「欲しい」と言ってもらえたことは、作家としての大きな一歩です。その一歩を、あとで悔やむ形にはしたくありません。

あなたは、学校の決まりを読んだことがありますか。

確かめずに売ると、どうなるか

学校の課題で作った作品を売った学生が何%いるか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、学校を出たあと、作品を発表する場を得るのは簡単ではありません。多くの人が、身をもって感じていることでしょう。

学生のうちから、作品を見てもらう経験を積みたいと思うのは自然なことです。

けれど、確かめずに売ってしまうと、あとで学校との間で問題になることがあります。共同で作った作品なら、一緒に作った人との間でも、話がこじれかねません。

一度売った作品は、取り戻すのが難しいものです。せっかくの最初の販売が、苦い思い出になってしまうのは残念です。

学校との信頼が揺らげば、残りの学生生活にも影響が出かねません。先生や仲間との関係は、作家として歩き出すときの大切な支えです。

とくに、課題の作品を学校の展示に出したあとで売る場合は、展示の決まりにも目を通しておきましょう。

課題の作品には、学校の設備や材料を使って作ったものもあります。どこまでが自分の作品として扱えるのか、自分だけでは判断しにくい場面があるのです。

最初の販売を、
いい思い出にするために。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい学校の美術室の木の机に、描き上げた色鮮やかな作品が並んでいる
課題で描き上げた作品(イメージ)

わたしは業界の外から来た人間です。外から見ていて、伝えたいことがあります。

これまで作品は、ギャラリーや画商に売ってもらうのが当たり前でした。けれど、その売り方では、お客さんはギャラリーにつき、作家にはつきにくい。

だから、作家が自分でお客さんを持ち、直接届けられる環境を持つこと。それが、これからは欠かせないと考えています。

そして、本当にアートで生きていきたいなら、作家自身が本気にならないとだめだ、とも伝えたいのです。

ここからは、学校の課題の作品についての一般的な話です。学生のうちに「欲しい」と言ってくれた人は、あなたにとって最初のお客さんかもしれません。

決まりを確かめることは、遠回りではありません。作家として長く続けていくための、最初の練習にもなります。

卒業すれば、契約書を読んだり、作品の権利を話し合ったりする場面が、いずれ来ます。そのときに慌てないための準備を、今から始められます。

胸を張れる形で、
最初の1点を手渡す。

答え合わせ:最初のお客さんは、支えになるか

この感覚を、数字で確かめようとしました。

けれど、学生のうちに自分のお客さんを持った作家が、その後どれくらい続けているのか。それを調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。

作品を買う人は、まだ多くありません。だからこそ、「欲しい」と言ってくれた一人ひとりが、作家にとって貴重な存在になります。

「作家が自分のお客さんを持つことが、これからは欠かせない」。この感覚は、今回は確かめられませんでした。

それでも、最初の1人のお客さんが、作家を長く支えてくれることは少なくありません。学生のときに作品を選んでくれた人が、何年たっても新作を楽しみにしてくれる。そんな関係は、学校の外で作品を見せた人だけが手にできるものです。

学生のうちに確かめる習慣をつければ、卒業してからも、契約や権利のことで慌てずにすみます。

確かめた上で売った最初の1点は、自信を持って経歴に書ける実績にもなります。

最初のお客さんと気持ちよく出会えれば、その人は卒業後も応援してくれるかもしれません。

確かめる習慣は、
卒業後の財産になる。

7ARTSで、一緒にできること

明るい部屋の白い壁に、若い作家の色鮮やかな作品が飾られている
最初のお客さんの部屋に飾られた作品(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。学校の課題作品を売ってよいかを、判断する仕組みはありません。学校に代わりに確かめることもできません。

そのうえで、作家が今日からできることをお伝えします。

1つめは、学校の決まりや、課題の説明に書かれた条件を読み直すことです。作品の扱いについて、書かれていることがあります。

2つめは、担当の先生や学校の窓口に、「この作品を売ってもいいですか」と聞くことです。聞くのは失礼なことではありません。

3つめは、ほかの人と一緒に作った作品なら、その人たちの了承をもらうことです。

答えが「売ってよい」でも「売らないで」でも、その答えに従ってください。

作品の権利や契約に関わる判断は、一般的な説明だけでは決められません。迷ったら、著作権に詳しい弁護士など専門家に相談してください。

聞くことは、
作家としての第一歩。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。学校の決まりを読む、先生や窓口に聞く、答えを記録しておく
今日、作家がやること

売りたい作品が課題で作ったものなら、まず学校の決まりと、課題の説明を読み直してみてください。

分からなければ、担当の先生か学校の窓口に、そのまま聞いてみます。

答えをもらったら、聞いた日と相手の名前を、メモに残しておきましょう。確かめた記録があれば、迷わずに最初の作品を手渡せます。

聞いた答えは、ほかの作品を売るときにも役立ちます。同じ課題の作品なら、同じ決まりが当てはまるかもしれないからです。

売ってよいと分かったら、作品と一緒に、作品への思いを一言添えて渡してください。最初のお客さんとの出会いが、ずっと心に残るものになります。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 作家の数:文化庁資料(2020年)/ギャラリー・画商などの数:文化庁「The Japanese Art Market 2025」(2024年時点・骨董店なども含む)
  • 作品を買ったことがある人の割合(約16%):「日本のアート産業に関する市場調査2018」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(2019年3月4日発表・約2万人を対象)