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作家の悩み百選 No.014

ひとりで、決め続けていませんか

「信頼できる相談相手やメンター、マネージャーがいない」。相談先が少ない理由を数字で見て、相談先の持ち方を考えます。

明るいアトリエの窓辺で、描き上げた作品を手に取って見つめる作家の手元

こんな悩みはありませんか

「信頼できる相談相手やメンター、マネージャーがいない」

作品のこと、値段のこと、展示のこと、次に何をすべきか。決めることは山ほどあるのに、聞ける人がいない。

描き上げた作品を前に、アトリエでひとり考え込む。「これでいいのか」と聞きたくても、聞ける相手が思い浮かばない。

何でも相談できる人がいたら、どれだけ楽だろう。SNSで作家どうしの交流を見るたびに、自分だけが取り残されている気がする。

家族や友人に話しても、作品や売り方の話までは分かってもらえない。結局、いつも自分ひとりで決めることになる。

ここで、ひとつ考えてみてください。あなたが相談したいのは、何についてですか。作品の中身か、売り方か、お金や契約のことか。

中身によって、相談すべき相手は変わります。1人の誰かに全部を頼もうとすると、その人はなかなか見つかりません。

聞きたいことが分かれば、
相手も見えてくる。

あなたは、何でも聞ける1人を、探し続けていませんか。

ひとりで決め続けると、どうなるか

調べたことを、先にお伝えします。相談相手やマネージャーがいる作家の割合を調べた、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

そのかわり、ひとりで抱えがちな気持ちを調べた国の調査があります。作家に限った数字ではありません。

孤独を感じることがある人の割合のグラフ。しばしば・常にある4.9%、時々ある15.8%、たまにある19.6%

孤独を感じることが「しばしばある・常にある」人は4.9%でした。

「時々ある」の15.8%と「たまにある」の19.6%を合わせると、およそ4割になります。

誰にも相談せずに決め続ける作家は、その4割の中に入りやすいのではないでしょうか。

ひとりで決めると、それが正しかったかを確かめる方法がありません。迷う時間が長くなるほど、作品に向かう時間は短くなります。

決めかねているうちに、展示や公募の締め切りが過ぎてしまうこともあります。迷いが積み重なると、作家としての次の一歩まで止まってしまいます。

うまくいかなかったとき、何が悪かったのかを一緒に振り返る相手もいません。同じ迷いを、何度もくり返すことになります。

誰にも見せないまま描き続けると、自分の作品の良さにも気づきにくくなります。外の目に触れないことが、自信のなさにつながることもあります。

迷う時間は、
作る時間を静かに削る。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い壁のアトリエで、描き上げた作品を前に机に向かって考え込む人の後ろ姿
ひとりで決め続ける時間(イメージ)

わたしはアート業界の外の人間です。外から見ていて、ずっと気になっていたことがあります。

これまで作家は、ギャラリーや画商に作品を売ってもらってきました。ただ、ギャラリーや画商の数は限られていて、見られる作家の数も限られています。

だから、全員が頼れるわけではありません。取り扱ってもらえない作家は、売り方も、次の一歩も、ひとりで考えることになります。

一方で、新しい売り先をひらくのが得意な作家は、多くありません。苦手な方が多いのです。わたしは、その苦手な部分を支えていきたいと考えています。

相談相手がいないのは、作家の力が足りないからではありません。頼れる先の数が、そもそも足りていないのです。

ギャラリーも画商も、敵ではありません。作家も、ギャラリーも、作品を買う人も、みんなで良くなる形が一番です。

そのうえで、作家自身も、頼れる先を1つに絞らずに持っておく。それが、これからの作家に欠かせない備えになります。

頼れる先が限られるなら、
相談の道を増やしていく。

数字で答え合わせ:美術の作家は、ひとりで仕事をしている

「全員は頼れない」という感覚を、数字で確かめます。

芸術家などへの2万人の調査があります。

組織に入らず、全部ひとりで仕事をしている人は、美術・写真・デザインの分野で78.7%でした。

10人のうち8人近くが、事務所にもマネージャーにも頼らず、ひとりで決めているのです。

「全員は頼れない」という感覚は、当たりでした。美術の作家の多くは、もともと相談できる誰かを持たずに活動しています。

だから、相談先は1つでなくていいのです。作品の中身は作家仲間に、売り方は販売の場で、お金や契約は専門家に。中身ごとに相談先を分けて持てば、迷いは少しずつ減っていきます。

たとえば、値段は値段の目安と作家仲間に聞き、契約は専門家に聞く。そう決めておくだけで、迷ったときに足が止まりません。

相談先が分かれていれば、1人の答えに振り回されることもありません。いくつかの声を聞いたうえで、最後は自分で決められます。

1軒に頼るより、
相談の窓を何か所か。

7ARTSで、一緒にできること

明るいギャラリーの店先の大きな窓越しに、白い壁に飾られた色鮮やかな作品が見え、通りを歩く人の後ろ姿
市場の声に触れる場所(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。作家一人ひとりにつくマネージャーやメンターの役は、今の7ARTSにはありません。

答えられるのは、ひとりで決めにくいことの一部を、確かめる手がかりの部分です。たとえば値段に迷ったときは、値段の目安を出す道具が使えます。

7arts.jpの作家ページに作品を載せておけば、サイトから購入やオファーが届きます。どの作品に声がかかったかは、市場からの答えとして、次の一歩を考える材料になります。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります。どんな場面で映えるかを、自分の目で確かめる手がかりになります(解決策1 飾ってみて)。

福岡のギャラリーでは、店先で作家の作品を紹介しています。通りを行く人の反応も、作品を見直すきっかけになります。

お金や税金のことは税理士、契約や著作権のことは弁護士など、専門の相談先も持っておいてください。作品の中身については、同じ道を歩む作家仲間の声も大きな助けになります。

答えを待つより、
手がかりを集めにいく。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。いちばん聞きたいことを3つ書く、作品・売り方・お金や契約に分ける、それぞれの相談先を1つずつ決める
今日、作家がやること

今いちばん聞きたいことを、3つ書き出してください。きれいな文でなくてかまいません。頭に浮かんだ言葉のまま、まず紙に出してみてください。

次に、その3つを、作品の中身・売り方・お金や契約の3つに分けます。分けてみると、同じ相手に聞くべきでないことも見えてきます。

最後に、それぞれの相談先を1つずつ決めてください。作家仲間、販売の場、専門家。相談先が3つ決まれば、ひとりきりで迷う時間はぐっと短くなります。

相談先は、一度決めたら終わりではありません。聞いてみて合わなければ、別の人を探せばいい。そのくり返しで、あなたの相談の輪は育っていきます。

相談先が決まったら、1つだけでも今週中に聞いてみましょう。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 孤独感:内閣官房「人々のつながりに関する基礎調査(令和4年)」
  • ひとりで仕事をしている人:「芸術家等のセーフティネットに関する2万人アンケート」文化芸術推進フォーラム・日本芸術文化振興会(2023年)