
こんな寂しさはありませんか
「展示に来てくれた人と、そのあとつながる方法がない」
会場で作品をじっと見てくれた人がいた。少し話もした。けれど、名前も連絡先も聞けないまま、その人は帰っていった。
芳名帳に名前は残っていても、そのあと連絡する理由が見つからない。会期が終われば、出会いもそこで止まってしまう。
ここで、ひとつ考えてみてください。その人が作品をもう一度見たくなったとき、どこを探せばいいのでしょうか。
帰ったあとで作品を思い出し、もう一度見たいと思う人は、きっといます。けれど、行き先が分からなければ、その気持ちは消えてしまいます。
会期は終わっても、
出会いは終わらせない。
展示の準備には、何か月もかかります。その成果である出会いを、数日の会期だけで手放してしまうのは惜しいことです。
会場で「また見に来ます」と言ってくれた人ほど、そのあとの行き先を知らないものです。
あなたは、展示に来てくれた人に、次の行き先を手渡せていますか。
会期が終わるたびに、どうなるか
展示のあとに来場者とつながっている作家が何%いるか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。
ただ、作品を見に出かける人が減っていることは、数字で確かめられます。文化庁の調査で、2022年と比べて文化芸術を見る頻度が変わったかを聞いています。
「減った」と答えた人は16.3%で、「増えた」の12.1%より多くなっていました。見に来てくれる人は、決して増えてはいないのです。
だからこそ、会場に足を運んでくれた人は、大切な人たちです。
その大切な人と会期のあとにつながれなければ、次の展示でまた一から人を集め直すことになります。
毎回、初めましてから始まる展示は、作家にとって大きな負担です。案内を出す相手も、来てくれる人の数も、いつまでも増えていきません。
芳名帳の名前も、連絡してよいという了承が無ければ、案内を送ることはできません。名前があるだけでは、つながりにはならないのです。
来てくれた人を覚えていれば、次の展示は「お久しぶりです」から始められます。
毎回が初対面では、
人は積み上がらない。
外から見てきた、わたしの感覚

わたしは、50歳を過ぎて初めてアートを買いました。本物の作品の前に立ったとき、心をつかまれたのです。
ただ、それまで作品を見る機会はほとんどありませんでした。作家の友人もいなければ、アートの世界に詳しい知り合いもいなかったからです。
外から見てきて思うのは、一般の人は、アートに出会う場所が少ないということです。だからこそ、展示で作品と出会えた人の存在は、とても大きいのです。
足りないのは、アートを見てもらえる環境です。展示で作品に惹かれた人が、帰ったあとにもう一度作品を見られる場所も、その一つではないでしょうか。
これまでの売り方では、お客さんはギャラリーにつき、作家にはつきにくいものでした。
作家が自分のお客さんを持ち、直接届けられる場所を持つこと。それが、これからは欠かせないと考えています。
会場で交わした数分の会話を、会期と一緒に終わらせてしまってよいのでしょうか。せっかくの出会いを、次につなげる方法を考えてみてください。
一度出会えた人は、
いちばん大切なお客さん。
答え合わせ:来てくれた人は、また来るか
この感覚を、数字で確かめようとしました。
けれど、展示に来た人のうち、もう一度作家に会いたいと思う人がどれくらいいるのか。それを調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。
展示に来てくれた人の中にも、まだ作品を買ったことがない人がいるはずです。その人にとって、あなたの展示が初めての出会いだったかもしれません。
「アートに出会う場所が少ない」という感覚は、一部当たりです。見に出かける機会が減っている人がいることは、確かめられました。会期のあとのつながりを望む人の数までは、分かりません。
出会いの場所が少ないなら、一度の出会いを長く続けることが大切です。会期のあとも作品を見られる場所があれば、その人はいつでも戻ってこられます。
自分のタイミングで、もう一度あなたの作品に会いに来られるのです。迷っていた人が、何か月かたってから決めることもあります。
そうした人が展示のたびに少しずつ増えていけば、次の展示は、あなたを知っている人から始まります。
一度の出会いを大切にする作家のもとには、展示のたびに、知っている顔が少しずつ増えていくはずです。
出会いが続けば、
次の展示は顔なじみから。
7ARTSで、一緒にできること

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。来場者の連絡先を集めたり、案内を送ったりする仕組みは、7ARTSにはありません。
そのうえで、会期のあとも作品に会える場所を、一緒に持つことができます。
7arts.jpには、作家ごとのページがあります。展示の会場でこのページの行き先を伝えておけば、帰ったあとも作品を見てもらえます。
気に入った作品があれば、見た人はページから購入やオファーを申し込めます。オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。
会場で見た作品を、自分の部屋に飾った姿で確かめられる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。
ただ、ページの行き先を手渡すのは、作家自身です。名刺や作品の説明カードに載せるなど、来てくれた人が持ち帰れる形にしてください。
連絡先を預かるときは、何に使うかを伝えて、了承をもらいましょう。
説明カードに、作品に込めた思いを一言添えておくのもよいでしょう。帰ってからカードを見返したとき、会場で感じた気持ちがよみがえります。
作品に会える場所を、
持ち帰ってもらう。
今日、ひとつだけやってみてください

次の展示に向けて、作品の説明カードを1枚つくってみてください。
カードには、作品の名前と、あなたの作家ページの行き先を載せます。スマートフォンで読み取れる形にしておくと、受け取った人がすぐに開けます。
会場では、作品の前で話した人に、そのカードを手渡してください。1枚のカードが、会期のあとの出会いをつないでくれます。
展示が終わったら、カードを何枚渡せたかを数えてみましょう。その数は、次の展示であなたを待っていてくれるかもしれない人の数です。
カードは、作品の数だけ用意しなくてもかまいません。まずは、いちばん見てほしい作品の1枚からで十分です。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)



