
こんな場面はありませんか
「作品が飾られた様子をお客さんがイメージできず、購入をためらわれる」
作品の前で、長く足を止めてくれる人がいる。「すてきですね」と言ってくれる。それなのに、最後に出てくるのは「うちの部屋に合うか分からなくて」の一言。
気に入ってもらえたのに、決めきれずに帰っていく。その背中を見送るのは、作家にとっていちばん悔しい瞬間かもしれません。
大きさを聞かれて答えても、相手の顔はまだ迷ったまま。数字だけでは、部屋に掛けた姿までは伝わりません。
ネットでも同じです。作品の写真を何度も見に来てくれる人がいるのに、購入のボタンまではたどり着かない。
ここで、ひとつ考えてみてください。その人が迷ったのは、作品のせいでしょうか。飾った姿が見えなかったからでしょうか。
気に入ったのに、
決めきれない。
白い壁の会場で見る作品と、自分の部屋に掛けた作品は、別のものに見えます。あなたは、作品を見せるとき、飾った姿まで見せていますか。
飾った姿を見せないままだと、どうなるか
作品を飾った経験のある人が、どれくらいいるかを調べた全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。
ただ、作品の前で迷う人の姿は、展示の会場でよく見かけるものです。
初めて作品を買う人には、自分の部屋に作品を飾った経験がありません。壁に掛けたらどう見えるか、大きさは合うか。想像する手がかりが、もともと少ないのです。
飾った姿を見せないままだと、迷った人は「また今度」と言って帰っていきます。そして多くの場合、その「今度」は来ません。
足を止めてくれた人が、迷ったまま帰っていく。展示のたびにそれが続くと、作家の自信まで揺らいでしまいます。
家族に相談しようにも、作品の写真1枚では伝わらない。説明しきれないまま、話はそこで終わってしまいます。
まだ最初の1点を迎えていない人もいます。その人たちに選んでもらうには、作品だけの売り方では手がかりが足りないのです。
想像できないものは、
部屋に迎えられない。
外から見てきた、わたしの感覚

わたしはアート業界の外から来た人間です。外から見ていて、ずっと不思議に思っていたことがあります。
今までのアート業界は、飾った姿を見せる表現を、ほとんどしてこなかったのではないか。これが、わたしの感覚です。
アパレルを思い浮かべてください。洋服は、服だけを撮った写真では売っていません。モデルが着て、かっこよく見える姿を撮ります。その姿に憧れて、人は服が欲しくなります。
ところがアートは、作品だけを展示して販売してきました。それでは、作品の魅力が伝わりきらないのです。
玄関に飾った姿、カフェに飾った姿、ホテルのロビーに飾った姿。それを見るからこそ、「この絵を飾りたい」と思う。
わたしが作品を買ったときも、心をつかまれたのは実物の力でした。その力を、まだ出会っていない人にも届けるには、見せ方の工夫が欠かせません。
買う方のことを考えて、心を込めて見せているか。表現しなければいけないことがある。わたしは、作家のみなさんにそこに気づいてほしいと思っています。
服はモデルが着て、
絵は部屋に飾って届ける。
数字で答え合わせ:買う理由の1位は「部屋に飾る」
この感覚を、数字で確かめます。作品を買った人に、買った理由を聞いた調査があります。

いちばん多いのは「部屋に飾る」の32%でした。次が「気に入って衝動的に」の29%です。
買う人の多くは、作品が自分の部屋にある姿を思い描いて決めています。飾った姿が想像できるかどうかが、買うかどうかを分けているとも読めます。
「飾った姿を見るからこそ欲しくなる」という感覚は、当たりでした。買う理由の1位が、そのまま飾る場面だったのです。
飾った姿を見せれば、迷っていた人は「うちの玄関なら、こう見える」と考えられます。そこまで想像できた人は、「また今度」ではなく「この作品を」と言えるようになります。
飾った姿は、家族に相談するときの材料にもなります。作品が暮らしにどうなじむかを、1枚で伝えられるからです。
作品の魅力は変わりません。変わるのは、見る人に届く手がかりの量です。飾った姿が1枚加わるだけで、受け取り方はまったく違ってきます。
飾った姿が見えた瞬間、
迷いはほどけていく。
7ARTSで、一緒にできること

7ARTSには、この悩みに答える仕組みがあります。作品を部屋やお店に飾った姿を見せる「飾ってみて」です。
玄関、リビング、カフェ、ホテルのロビー。見る人は、暮らしの中の作品を想像できます(解決策1 飾ってみて)。
7arts.jpの作家ページでは、見た人が飾った姿を確かめてから、購入やオファーを申し込めます。オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。
サイトは5か国語で表示できます。海外の人も、自分の言葉で作品と飾った姿を見られます(解決策2 外国語表示)。
福岡のギャラリーでは、通りから見える店先で作品を紹介しています。実物を、暮らしに近い場所で見てもらえる入口です。
ただ、どの作品を、どんな場面に飾って見せるかは、作家自身が考えるところです。玄関に合う作品か、お店の壁に映える作品か。そこを決めるほど、見せ方は伝わるものになります。
場面を選ぶときは、買ってほしい人の暮らしを思い浮かべてください。その人の部屋に近い場面ほど、気持ちは動きやすくなります。
見せる場面を決めれば、
作品はもっと伝わる。
今日、ひとつだけやってみてください

いちばん見てほしい作品を、1点選んでください。
次に、その作品を飾ってほしい場所を、3つ書きます。玄関、寝室、カフェの壁。思いついた順でかまいません。
最後に、いちばん合う場面を1つ選び、その場所に飾った姿を見せてください。飾った姿を1枚添えることが、迷う人への何よりの答えになります。
作品だけの写真と、飾った姿の写真。2枚を並べて、どちらが暮らしを思い描けるか、自分の目でも比べてみてください。
比べてみると、大きさや色の印象まで伝わるのは、飾った姿のほうだと気づくはずです。気づいたことは、次の作品の見せ方にそのまま活かしてください。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- 作品を買ったことがある人の割合(約16%):「日本のアート産業に関する市場調査2018」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(2019年3月4日発表・約2万人を対象)
- 買った理由:「日本のアート産業に関する市場調査2021」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(文化庁委託事業)



