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作家の悩み百選 No.017

展示に、知り合いしか来ない

「展示をしても知り合いしか来ない」。知り合いの外にいる人へどうすれば作品が届くのかを、数字と外から見てきた感覚で探します。

明るい展示会場の白い壁に作品が並び、来場者が静かに見ている後ろ姿

こんな悩みはありませんか

「展示をしても知り合いしか来ない」

案内状を送り、SNSで知らせ、会場で待つ。来てくれるのは、家族や友人、前から応援してくれている人たちです。

来てくれる人には、心から感謝している。それでも、初めて作品を見る人の姿が、ほとんど見当たらない。

ここで、ひとつ考えてみてください。あなたの展示の知らせは、知り合いの外に届いていますか。

案内を送る先が知り合いだけなら、来る人が知り合いだけになるのは自然なことです。作品の力が足りないわけではありません。

知り合いが来てくれるのは、あなたが大切にされている証です。その輪の外へ一歩出るかどうかが、次の分かれ道になります。

届け先が知り合いなら、
来る人も知り合いになる。

あなたは、まだ会ったことのない人に、作品を見てもらえていますか。

同じ輪の中だけだと、どうなるか

調べたことを、先にお伝えします。展示に来る人のうち、知り合いが何割かを調べた全国の調査は見つかりませんでした。そのかわり、文化芸術を「見に行かなかった人」に理由を聞いた調査があります。

見に行かなかった理由のグラフ。関心がない23.6%、近所でやっていない15.6%、入場料・交通費がかかり過ぎる14.0%

文化庁の調査で、この1年に外へ見に行かなかった人に、理由を聞いています。いちばん多いのは「関心がない」の23.6%でした。

2番目は、「近所で公演や展覧会などが行われていない」の15.6%でした。

3番目は、「入場料・交通費がかかり過ぎる」の14.0%です。

関心がないのではなく、近くにない、行くのにお金がかかる。そんな理由で足が向かない人も、少なくないのです。知らない人がふらりと展示に立ち寄るまでには、いくつもの壁があります。

このままでは、展示のたびに同じ人へ同じように作品を見せることになります。会場代や準備の時間をかけても、作品を知る人の輪は広がりません。

知り合いは、作品を買ってくれることもあります。ただ、同じ人が何度も買い続けるのは難しく、輪が広がらなければ売上も伸びにくいのです。

案内状の宛先を見直すと、毎回ほとんど同じ名前が並んでいることに気づくかもしれません。

同じ輪の中だけでは、
作品を知る人は増えない。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い展示室で、大きな作品の前に初めて立ち止まる人の後ろ姿
初めて作品と出会った瞬間(イメージ)

わたしは、50歳を過ぎて初めてアートを買いました。

それまで、アートにそれほど興味はありませんでした。アートの世界とは縁の薄い、ごく一般の暮らしをしていたのです。

初めて本物の作品の前に立ったとき、心をつかまれました。一目惚れで、その場で買うと決めていました。

あとから、なぜ買ったのかを自問自答しました。アートに縁のなかった人間でも、出会えば心が動く。わたしは、その一人だったのです。

一般の人は、アートに出会う場所が少なすぎます。作家の友人がいるか、アートの世界の中にいなければ、作品に触れる機会がほとんどありません。

知り合いの外には、昔のわたしのような人がたくさんいます。出会っていないだけの人が、あなたの作品を待っているかもしれません。

50歳を過ぎるまでアートに出会わなかったのは、もったいない人生だったと今は思います。

足りないのは、作品を見てもらえる環境です。一般の人にも、欲しいと思えば買えるお金はあるのですから。

知り合いの外に、
出会いを待つ人がいる。

数字で答え合わせ:出かけて見る人は、減っている

この感覚が当たっているか、数字で確かめます。総務省の調査で、美術館などで美術を見た人の割合を、5年前と比べたものです。

美術館などで美術を見た人の割合のグラフ。2016年19.4%、2021年11.4%

2016年に19.4%だった人が、2021年には11.4%に減っていました。この時期には、外出を控える動きがあったことも、合わせて考える必要があります。

「一般の人は、アートに出会う場所が少ない」という感覚は、当たりでした。出かけて見に来る人を待つだけでは、知り合いの外の人と出会う機会は、ますます限られていきます。

知り合いの外の人は、作家の名前ではなく、作品そのものを見て決めます。作品の力が、そのまま試される場でもあります。

怖さもあるかもしれません。けれど、知らない人から届いた「好き」の一言は、知り合いの言葉とは違う重みで響きます。

展示の会場に、初めての人が1人、2人と増えていく。帰り道に「また見たい」と言ってくれる人ができる。

そうなれば、展示は知り合いへのお披露目から、新しいお客さんと出会う場に変わります。次の展示を待ってくれる人も、少しずつ増えていきます。

知らない人が1人来た日から、
展示の意味が変わる。

7ARTSで、一緒にできること

通りに面した明るいギャラリーの店先に作品が並び、通りがかりの人が足を止めている
通りがかりの人が、作品に出会う(イメージ)

7ARTSは、知り合いの外へ作品を届ける場所を、作家のみなさんと一緒につくっています。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、会場に来られない人も、まだ知らない人も、いつでも作品を見られます。

見た人からは、サイトを通して購入やオファーが届きます。オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。

ページの住所を、案内状やSNSに添えておきましょう。会場に来られなかった人にも、展示の作品を見てもらえます。

会場で出会った初めての人に、ページを伝えるのもよい方法です。展示が終わったあとも、作品との縁が切れずに続きます。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

福岡のギャラリーでは、通りから見える店先で作品を紹介しています。知り合いではない人が、ふと足を止めてくれる場所です。

ただ、場所があるだけでは足りません。どんな人に見てほしいかを決めるのは、作家自身です。

知らない人に届く場所を、
一緒に増やしていく。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。前回の展示に来た人を書き出す、初めての人が何人いたか数える、知らない人に届く場所を1つ足す
今日、作家がやること

前回の展示に来てくれた人を、思い出せるだけ書き出してみてください。芳名帳があれば、それを開いてもかまいません。

次に、その中で「展示の前から知っていた人」に印を付けます。印の無い人が何人いたかを、数えてみてください。

最後に、知らない人に作品が届く場所を、1つだけ足してみてください。届け先が知り合いの外に広がれば、会場に来る顔ぶれも変わります。

1か所でかまいません。足した場所から、まだ会ったことのない人が、1人ずつ作品にたどり着いてくれます。

次の展示の案内も、知り合いだけでなく、その場所から届けてみましょう。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)
  • 美術鑑賞の行動者率:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」(2022年8月)