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作家の悩み百選 No.056

個展は、何年かに一度しかできない

「貸しギャラリーが高くて、個展は何年かに一度」。個展と個展のあいだも、作品が人と出会い続けるための方法を考えます。

明るいアトリエの壁ぎわに、前の個展のあとに描いた色あざやかな作品が並んでいる

こんなため息はありませんか

「貸しギャラリーが高くて、個展は何年かに一度」

個展を開きたい気持ちは、いつもある。けれど、会場を借りるお金を考えると、すぐには踏み出せません。

会場代に加えて、額装や案内状、運搬の費用もかかります。お金を貯めて、ようやく開けるのは何年かに一度。その間に描いた作品は、アトリエに積み重なっていきます。

その間にも、描きたいテーマは次々に生まれます。発表の場が追いつかないまま、作品だけが静かに増えていくのです。

ここで、ひとつ考えてみてください。個展と個展のあいだの何年か、作品は誰に見てもらっていますか。

個展の1週間だけが、作品が人と出会える時間になっていないでしょうか。

個展を開くたびに、お金の心配と、久しぶりの準備に追われる。作品を見てもらう喜びよりも、疲れのほうが大きく残ることもあります。

個展の1週間のために、
何年も待っている。

あなたは、次の個展の日まで、作品を眠らせたままにしていませんか。

個展だけに頼り続けると

作品を見に出かける人が、どれくらいの頻度で出かけているかを見てみます。

文化庁の調査で、文化芸術を外へ見に出かけた人に、その頻度を聞いています。

いちばん多いのは、「年に1回程度」の49.2%でした。

見に出かける人でも、年に1回ほど。何年かに一度の個展の1週間に、その人の予定が重なるのは、めったにないことです。

貸しギャラリーの借り賃を全国でまとめた調査は、見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、会場を借りる費用が負担になるほど、個展の間隔は空いていきます。間隔が空けば、前の個展で出会った人とのつながりも薄れていきます。

前の個展で作品を気に入ってくれた人も、数年たてば暮らしが変わります。引っ越しや仕事の変化で、案内が届かなくなることもあります。

案内状を受け取った人が会場に来られるかどうかも、その週の予定しだいです。1週間という短さが、出会いの数を限ってしまいます。

何年かに一度の1週間だけで、すべてを決めようとする。そのやり方では、作品が人に見られる時間は、どうしても限られてしまいます。

間隔が空くほど、
出会った人との縁も薄れる。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い部屋に色あざやかな作品が並ぶ小さな展示と、その前に立つ人の後ろ姿
本物と出会う機会は、まだ少ない(イメージ)

わたしは、50歳を過ぎて初めてアートを買いました。それまで、アートにそれほど興味はありませんでした。

実物の作品を見たとき、その力を思い知らされました。一目惚れで、その場で買うと決めていたのです。

あとから、なぜ買ったのかを自分に問いかけました。そして、50歳を過ぎるまで出会わなかったのは、もったいない人生だったと思いました。一般の人には、アートに出会う場が少ないのです。

一般の人にも、欲しいと思えば買えるお金はあります。足りないのは、アートを見てもらえる環境です。

ひと握りの作家だけが売れているのは、ひと握りの市場の中でしか売っていないからではないか。わたしには、そうも見えています。

何年かに一度の個展だけでは、その環境は足りません。一般の人が作品と出会えるのは、たまたまその週に、会場の前を通ったときだけです。

個展はこれからも大切な場です。そのうえで、個展のない日にも作品を見てもらえる環境を、もう1つ持っておく。それが、外から見てきたわたしの考えです。

個展のない日にも、
作品と出会える環境を。

数字で答え合わせ:出かけるのは、年に1回ほど

この感覚を、数字で確かめようとしました。

けれど、出会う回数と、作品が買われる回数の関係を調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。

わたし自身は、作品と出会ったその場で、買うと決めました。出会いがなければ、決めることもありませんでした。

「足りないのは、見てもらえる環境」というわたしの感覚は、一部当たりです。見に出かける人の多くが年に1回ほどであることは、数字で確かめられました。出会いの回数と売れ行きの関係までは、確かめられていません。

個展のない日にも作品を見てもらえれば、何年も待つ必要はなくなります。個展は、作品をまとめて見てもらう特別な日として、これからも力を発揮します。

描き上げたばかりの作品の熱を、何年も寝かせずに、見る人に届けられる。作品が増えるたびに、出会いの数も増えていきます。

その日までに作品を知ってくれた人が、個展の会場に足を運んでくれる。何年かに一度の個展が、待っていた人と会える日に変わっていきます。

出会う回数が増えれば、
選ばれる回数も増える。

7ARTSで、一緒にできること

明るい木の床のリビングで、白い壁に飾られた色あざやかな作品を眺める人の後ろ姿
個展のない日にも、作品と出会える(イメージ)

7ARTSは、個展のない日にも作品を見てもらえる場所を、作家のみなさんと一緒につくっています。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、会場を借りなくても、サイトから購入やオファーが届きます。

オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

福岡のギャラリーでは、通りから作品が見える店先で、作家の作品を紹介しています。

新しい作品を描き上げたら、ページに加えていく。そのたびに、小さな個展を開くような感覚で続けられます。

ただ、ページに作品を並べるだけでは足りません。どの作品を、どんな順番で、どんな言葉で見せるか。それは、あなたの常設の個展をつくることでもあります。その場づくりを、一緒に進めましょう。

あなたのページを、
いつでも開いている個展に。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。前の個展のあとに描いた作品を並べる、個展の題を付けるつもりで5点選ぶ、作家ページに並べて見てもらう
今日、作家がやること

まず、前の個展のあとに描いた作品を、すべて並べてみてください。

次に、その中から、個展に題を付けるつもりで5点を選んでみてください。題があれば、5点の並べ方も自然と決まってきます。

最後に、その5点を作家ページに並べてみてください。会場を借りない日にも、あなたの個展は開けます。

並べ方は、いちばん見てほしい作品を先頭に置くのがこつです。最初の1点が、ページを開いた人を奥へと案内してくれます。

次の個展の日は、変わらず目指してください。そこまでの何年かを、作品が人と出会う時間に変えていきましょう。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)