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作家の悩み百選 No.060

年齢の上限で、応募先が少ない

「年齢の上限がある公募が多く、応募できる所が少ない」。年齢で区切られない、作品そのもので選ばれる場所を考えます。

明るいアトリエで、描き上げた色あざやかな作品に筆を入れる年配の作家の手元

こんな悔しさはありませんか

「年齢の上限がある公募が多く、応募できる所が少ない」

描きたい気持ちは、若いころと変わらない。むしろ、時間も経験も重ねた今こそ、描けるものがある。そう感じている方は多いと思います。

けれど、公募の募集要項を見ると、年齢の上限を書いた条件が並んでいます。作品を見てもらう前に、年齢だけで入口が閉ざされてしまうのです。

ここで、ひとつ考えてみてください。作品を買う人は、描いた人の年齢を見て選ぶでしょうか。

公募には、若い作家を育てるという大切な役割があります。ただ、作品と出会う場は、公募だけではないはずです。

年齢を重ねてから本格的に描き始めた方や、子育てや仕事を終えて再び筆を取った方もいます。その方たちにとって、年齢の条件は重い壁です。

年齢で区切られるのは、
入口の1つにすぎない。

あなたは、応募できる公募が少ないことを、作家として遅すぎる理由にしていませんか。

応募先だけを探し続けると、どうなるか

年齢の上限がある公募がどれくらいあるのか。全国でまとめた調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

そこで、作家自身が年齢をどう感じているかを見てみます。芸団協が2025年に、芸術家へ聞いた調査です。

10年後に続けていないかもと思う理由のグラフ。年齢76.6%、体力54.7%、収入の低さ・不安定さ31.3%

10年後に今の仕事を続けていないかもしれない、と思う理由を聞いています。いちばん多いのは「年齢」の76.6%でした。

年齢を、続ける上での壁だと感じている作家は、とても多いのです。公募に年齢の上限があれば、その思いはさらに強くなります。

応募できる公募を探すことに時間を使うほど、作品を見てもらう時間は減っていきます。年齢の条件を読むたびに、描く気持ちがしぼんでしまう方もいます。

公募は、作品を見てもらうだけでなく、経歴を積む場でもあります。応募できる所が少なければ、経歴を重ねる機会も限られてしまいます。

入口が少ないことを嘆くより、入口そのものを増やす。そう考え方を変えないと、年齢を重ねるほど、作品の行き場は少なくなってしまいます。

入口の少なさを嘆くより、
入口を増やす。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い部屋で、色あざやかな作品の前に立ち止まる年配の人の後ろ姿
何歳でも、作品との出会いは訪れる(イメージ)

わたしは、50歳を過ぎて初めてアートを買いました。それまで、アートにそれほど興味はありませんでした。

実物の作品を見たとき、その力に心をつかまれ、一目惚れでその場で買うと決めました。あとから振り返って、もっと早く出会っていればよかったと思いました。それまで出会わなかったのは、もったいない人生だったとさえ感じます。

一般の人には、アートに出会う場が少ない。作家の友達がいたり、アートの世界の近くにいたりしなければ、触れる機会がないのです。

わたしのように、年を重ねてから初めて作品と出会う人もいます。出会う時期は、人によってさまざまです。

年齢を重ねた作家の作品には、その人が生きてきた時間が込められています。その作品と、これから出会う人も、きっといるはずです。

ギャラリーや公募が若い作家を育てることは、業界にとって大切です。そのうえで、今の売り方を壊すのではなく、新しい売り方を一つ増やす。わたしは、そう考えています。

作品が選ばれるかどうかを決めるのは、年齢ではなく、作品と見る人の出会いです。

出会いに、
遅すぎるということはない。

数字で答え合わせ:人は、作品で選んでいる

では、作品を選ぶ人は、作家の年齢を見ているのでしょうか。確かめようとしました。

けれど、作家の年齢が買う人に影響するかを、直接聞いた全国の調査には、たどり着けませんでした。

わたしが作品を買ったとき、作家の年齢を確かめたことはありませんでした。目の前の作品に、心が動いただけです。

「人は年齢ではなく作品で選ぶ」という感覚は、今回は確かめられませんでした。作家が年齢を気にしていることだけは、数字で分かっています。

作品で選ばれる場所に作品を置けば、年齢の条件に悩む時間は、作品を届ける時間に変わります。

見る人が作品の前で足を止めるのは、そこに心を動かす何かがあるからです。描いた人が何歳かを知るのは、たいてい、そのあとのことです。

公募の結果を待つのではなく、作品を見た人の反応を受け取る。重ねてきた年月そのものが、作品を選ぶ人の心を動かす力になっていきます。

重ねてきた年月が、
作品の力になる。

7ARTSで、一緒にできること

明るいホテルのロビーの白い壁に飾られた落ち着いた色合いの作品と、ソファでくつろぐ人の後ろ姿
作品そのもので選ばれる場所(イメージ)

7ARTSは、作品そのもので選ばれる場所を、作家のみなさんと一緒につくっています。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。公募のように締め切りを待つのではなく、作品を載せておけば、サイトから購入やオファーが届きます。

オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。体力や時間に合わせて、受けるものを選べます。

福岡のギャラリーでは、通りから作品が見える店先で、作家の作品を紹介しています。そこでも、通りを歩く人の目を留めるのは作品です。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

ただ、作品のそばに、あなたが重ねてきた時間を言葉で添えるのは、作家自身にしかできません。描き続けてきた年月を、ページの中で語ってみてください。その言葉づくりを、一緒に進めましょう。

締め切りを待たずに、
作品を見てもらう。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。描き続けてきた年月を書き出す、今の自分にしか描けない作品を1点選ぶ、年月の言葉を添えて載せる
今日、作家がやること

まず、あなたが描き続けてきた年月を、紙に書き出してみてください。始めたきっかけ、続けてきた理由、途中で変わったことなどです。

次に、今の自分にしか描けないと思う作品を、1点選んでみてください。

最後に、書き出した言葉を短くまとめ、その作品と一緒に作家ページに載せてみてください。年月を語る作品は、年齢の条件に関係なく見てもらえます。

書き出した年月の中には、自分でも忘れかけていた出来事があるはずです。それを言葉にすると、見る人は作品の奥にある時間に触れられます。

公募に応募できる所が見つかれば、それも大切に続けてください。入口を1つ増やすことで、作品の行き場は確実に広がります。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 芸術家の働き方:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)「芸術家のセーフティネットの構築に関する調査研究報告書」(2026年3月)