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作家の悩み百選 No.064

写真は刷れるから、と安く見られる

「写真は何枚でも刷れるからと、値段を低く見られる」。買う人の物差しを数字で見て、写真が作品として見られる伝え方を考えます。

明るい木の机の上で、色鮮やかな写真作品を額に入れる作家の手元

こんな悩みはありませんか

「写真は何枚でも刷れるからと、値段を低く見られる」

時間をかけて撮り、何度も焼き直して仕上げた1枚。それなのに、値段を伝えると「でも、また刷れるんでしょう」と言われてしまう。

絵画なら1点物として見てもらえるのに、写真だけが、印刷物と同じ物差しで測られている気がする。

ここで、ひとつ考えてみてください。買う人は、その1枚が何枚ある物なのかを、知っているでしょうか。

刷れるかどうかではなく、何枚まで刷るのかを、作家が決めて伝えているか。そこが伝わっていなければ、買う人は「いくらでもある物」として値段を見ます。

刷れることより、
何枚と決めたかが伝わるか。

決めた枚数は、作家と買う人との約束です。約束が見えない作品は、どうしても軽く扱われがちです。

あなたは、自分の写真が何枚だけの物か、買う人に伝えていますか。

低く見られたままだと、どうなるか

写真の作品の値段がどう見られているか。全国の調査を探しましたが、見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

代わりに、写真を撮る人の数を見てみます。総務省の調査で、趣味として写真の撮影やプリントをした人は、2021年に21.9%でした。

5人に1人が、自分で写真を撮って楽しんでいます。写真は、誰もが撮れるものとして見られやすいのです。

物差しが無い人は、身近な物と比べて値段を判断します。写真なら、ポスターや店で刷る写真が、比べる相手になりがちです。

説明が無いまま値段を下げれば、安く見られる流れは強まります。次の作品も同じ値段を求められ、作るほど苦しくなっていきます。

写真は、同じ物を何枚でも作れる。その印象は、見る人の頭に最初からあります。作家が何も言わなければ、その印象のまま値段が決められてしまいます。

値段を下げても、作品の価値が伝わったことにはなりません。伝え方が変わらなければ、同じ言葉を言われ続けることになります。

説明のない値下げは、
次の値段まで下げていく。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い壁に、額に入った色鮮やかな写真作品が3点並び、その前に立つ人の後ろ姿
額に入れて並べると、写真は作品として見られる(イメージ)

わたしはアート業界の外から来た人間です。外から見ていて、ずっと感じてきたことがあります。

アパレルは、洋服だけを撮った写真では売っていません。モデルが着た、かっこいい姿を見せます。それに憧れて、服が欲しくなるのです。

アート業界は、作品だけを並べて売ることが多いように見えます。それでは、作品の良さが伝わりきらないのではないか。これが、わたしの感覚です。

写真の作品は、とくにこの影響を受けやすいと、作家の方からよく聞きます。紙に刷られた写真は、見る人にとって見慣れた物だからです。

毎日、スマートフォンで何十枚もの写真を撮る時代です。見る人にとって、写真は特別な物ではなくなっています。だからこそ、作品として見てもらう工夫が要ります。

こんな話もあります。紙のまま見せたときと、額に入れて枚数とサインを添えたときとで、受け止められ方が違う。

見せ方を工夫し、買う人のことを考えて表現しているか。そこに気づいてほしいと、わたしは思っています。

同じ1枚でも、
見せ方で物差しが変わる。

答え合わせ:見せ方で、価値は変わるか

この感覚を、数字で確かめようとしました。

けれど、写真の作品の値段が、見せ方でどう受け止められるのか。それを測った全国の調査には、たどり着けませんでした。

それでも、集めることが好きな人にとって、その1枚が何枚だけの物かは、大切な情報です。枚数とサインは、集める楽しみの一部になります。

「見せ方しだいで価値の伝わり方が変わる」という感覚は、今回は確かめられませんでした。見せ方と値段の関係を測った全国の数字が無いからです。

それでも、何枚刷るかを決めて伝える作家は、印刷物と同じ物差しから抜け出せます。買う人は「残りが少ない1枚」として、作品を選べるようになります。

たとえば、限られた枚数の1枚を、部屋の壁に飾った姿で見せる。説明には、枚数とサイン、紙のことが書いてある。それを見た人は、ポスターではなく、作家の作品として値段を受け止めます。

値段を説明できる作家は、むやみに値段を下げなくなります。作った時間に見合う値段を、自信を持って伝えられる日が近づきます。

枚数を決めた写真は、
集めたくなる1枚になる。

7ARTSで、一緒にできること

明るいカフェの白い壁に飾られた、額入りの色鮮やかな風景写真
暮らしの場所に飾ると、写真の見え方が変わる(イメージ)

先に正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。何枚まで刷るか、いくらにするかは、作家が決めることだからです。

そのうえで、決めたことを買う人に伝えるための道具は、一緒に使えます。

7ARTSには、作品証明書の仕組みがあります。作品の確かな記録が残ります。

値段に迷ったときは、値段の目安を出す道具も使えます。目安を手がかりにすれば、値段を説明する言葉も見つけやすくなります。

7arts.jpの作家ごとのページには、作品の写真と説明を載せられます。何枚だけ刷るのか、どんな紙に焼いたのか。説明に書いておけば、見る人に伝わります。

額に入れた写真を、部屋やお店に飾った姿で見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

ただ、枚数を決め、守り続けるのは作家自身です。その約束があってこそ、道具が生きてきます。

枚数の約束は作家から。
伝える道具は一緒に。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。刷る枚数を決める、枚数と紙を説明にまとめる、額に入れた姿で見せる
今日、作家がやること

いちばん自信のある写真を1点選び、何枚まで刷るかを決めてみてください。少ないほど良いのではなく、守れる数にすることが大切です。

次に、その数とサイン、使った紙や焼き方を、短い説明にまとめます。3行ほどでかまいません。

最後に、その説明を作品と一緒に載せて、額に入れた姿で見せてください。枚数と説明がそろった写真は、印刷物ではなく作品として見られます。

枚数を決めたら、途中で増やさないことも大切です。約束が守られていると分かれば、買う人は次の作品も安心して選べます。

決めた枚数や販売の条件を書面にするときは、弁護士など専門家に相談すると安心です。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 美術鑑賞の行動者率:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」(2022年8月)