
こんな経験はありませんか
「買いたいと言われたのに、そのあと連絡が途切れる」
展示の会場で、作品の前に立った人が「これ、欲しいです」と言ってくれた。うれしくて、その日はなかなか眠れなかった。
ところが、「また連絡しますね」と言ったきり、返事が来ない。こちらから聞くのも、催促しているようで気が引ける。
ここで、ひとつ考えてみてください。その人は、どうすれば作品を買えるのかを、知っていたでしょうか。
値段、支払いの方法、受け取り方。どれか1つでも分からなければ、人は「あとで」と言って、そのまま日々に流されてしまいます。
会場で「欲しい」と言ってもらえるのは、作品がその人の心に届いた証です。届いた気持ちを、そのまま形にできるかどうかが問われています。
気持ちが冷めたのではなく、
買い方が分からなかった。
あなたは、買いたいと言ってくれた人に、次の一歩を渡せていましたか。
連絡を待つだけだと、どうなるか
「買いたい」と言ってくれた人が、そのあと実際に買ったのか。それを調べた全国の調査は、見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。
ただ、作品を買った経験のある人は、多くありません。初めての人にとって、作品を買うことは、慣れない大きな一歩です。
初めて作品を買う人は、買い方を知らなくて当然です。どこに連絡し、どう払い、どう受け取るのか。その一つ一つが、小さな壁になります。
連絡を待つだけでいると、その壁を越えるのは、相手まかせになります。日がたつほど、会場で感じた気持ちは薄れていきます。
こちらから連絡するのをためらううちに、相手も「今さら聞きにくい」と感じ始めます。お互いに遠慮したまま、作品の話はそこで止まってしまいます。
会場では、ほかにもたくさんの作品を見ています。家に帰るころには、どの作品だったか、思い出せなくなっていることもあります。
「欲しい」と言ってくれた人は、いちばん買う気に近い人です。その人を逃すたびに、作品が届くはずだった機会が、ひとつずつ消えていきます。
待つほどに、
会場の気持ちは薄れていく。
外から見てきた、わたしの感覚

わたしは50歳を過ぎて、初めてアートを買いました。それまで、アートにそれほど興味はありませんでした。
実物の作品の前に立ったとき、アートの力を思い知らされました。一目惚れで、気づけば買うと決めていました。
あとから、なぜ買ったのかを自分に問いかけました。そして、50歳を過ぎるまで出会わなかったのは、もったいない人生だったと思いました。
外から見ていて感じるのは、一般の人にはアートに出会う場が少ないということです。作家の友達がいたり、アートの世界にいたりしなければ、触れる機会がありません。
足りないのは、アートを見てもらえる環境です。会場を出たあとも作品にもう一度会える場所は、その環境の一つになります。
会場で「欲しい」と言った人は、そのとき確かに心が動いていました。その気持ちを、日々の暮らしの中で見失わないようにする。作家も買う人も喜べる形を、わたしは大切にしたいと考えています。
心が動いた人が、
いつでも戻れる場所を。
答え合わせ:買う気持ちは、いつ動くか
この感覚を、数字で確かめようとしました。
けれど、出会ってから時間がたつと、買う気持ちがどれくらい薄れるのか。それを調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。
わたし自身は、作品と出会ったその場で、買うと決めました。気持ちが動いた時に、すぐ買える道があるかどうかが、大きな分かれ目になります。
「一目惚れで買う人は、わたしだけではない」という感覚は、今回は確かめられませんでした。ただ、気持ちが動いた時に背中を押す一言が要ることは、多くの作家が経験していることでしょう。
会場で「欲しい」と言われたら、その場で作品のページを伝える。帰り道でも、夜中でも、その人は作品にもう一度会えます。
ページの場所さえ手元にあれば、家族と相談してから決めることもできます。「あとで」と言った人も、思い出したときに、すぐ作品のもとへ戻ってこられます。
迷う時間が短いほど、買う人の気持ちは、まっすぐ作品に向かいます。
部屋に飾った姿を見られれば、「本当に合うかな」という迷いも、その場で小さくできます。連絡を待つ時間は、作品が誰かの部屋に向かう時間に変わります。
気持ちが動いたその時に、
買える道を渡す。
7ARTSで、一緒にできること

7ARTSは、会場で生まれた「欲しい」を、作品まで届ける場所を一緒につくっています。
7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、会場で出会った人が、あとからでもそのまま購入やオファーを申し込めます。
オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。会場で話した人も、ページから申し込みの入口を選べます。
会場で受け取ったカードからページを開けば、作品の写真も説明も、いつでも見返せます。会場の記憶が薄れても、作品はページの中で待っています。
「部屋に合うかな」という迷いには、飾った姿で答えられます。
作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。
サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。
ただ、ページの場所を伝えるのは作家自身です。「欲しい」と言われたその場で、作品のページを渡せるように準備しておく。そこから、一緒に始めましょう。
「欲しい」の続きを、
ページで受け止める。
今日、ひとつだけやってみてください

展示に出す作品を、すべて作家ページに載せておいてください。会場に来られない人も、あとで見返せるようにするためです。
次に、そのページの場所を、小さなカードにして会場に置きます。作品の題と一緒に添えると、どの作品か迷いません。
最後に、「欲しい」と言われたら、そのカードを手渡してください。次の一歩を渡しておけば、連絡を待つだけの日々は終わります。
カードには、作品の題と、ページの場所だけを書けば十分です。小さなカードでも、会場の記憶と作品をつなぐ大切な糸になります。
カードを渡すのは、売り込みではありません。買いたいと言ってくれた人への、いちばん誠実な返事です。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- 作品を買ったことがある人の割合(約16%):「日本のアート産業に関する市場調査2018」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(2019年3月4日発表・約2万人を対象)
- 買った理由:「日本のアート産業に関する市場調査2021」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(文化庁委託事業)



