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作家の悩み百選 No.075

見られないまま、作り続けるつらさ

「誰にも見られずに、作り続けるのがつらい」。見てくれる人はどこにいるのかを、数字と外から見てきた感覚で確かめます。

朝の光が入るアトリエの壁に、描き上げた作品が何点も立てかけられている

こんな気持ちはありませんか

「誰にも見られずに、作り続けるのがつらい」

描き上げた作品を、壁に立てかける。見てくれるのは、自分と家族だけ。

SNSに載せても、反応はほとんど返ってこない。展示の予定も、しばらく立っていない。

次の作品に取りかかっても、手ごたえがない。誰の目にも触れないまま、作品だけが部屋に増えていく。

作ることは好きなはずなのに、筆を取るまでに時間がかかるようになった。そんな声を、作家の方からよく聞きます。

ここで、ひとつ考えてみてください。つらいのは、作ることですか。それとも、見てもらえないことですか。

多くの場合、作る力はまだ残っています。止まりかけているのは、作品が誰かに届く道のほうです。

作る力は、まだある。
足りないのは、届く道。

あなたは、作品を見てほしい誰かの顔を、思い浮かべられますか。

見られないまま続けると、どうなるか

作品が見られないまま続く時間を、数字で測った全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、作品を見に出かける人が、もともと多くないことは感じている方も多いでしょう。

地方で制作していると、見てもらう場所は、さらに遠くなります。

買う人の層が細れば、新しい作家の作品に目が向く機会は、さらに少なくなります。

見られない時間が長く続くと、作家は自分の作品を確かめる手がかりを失います。良いのか悪いのか、誰も教えてくれないからです。

そうして、作品は部屋の奥にしまわれ、描く手も少しずつ重くなっていきます。

見てもらえないことは、売上だけの問題ではありません。作り続ける気持ちそのものを、静かに削っていくのです。

見られない時間が、
描く手を重くしていく。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い部屋で、壁に掛かった色あざやかな作品の前に立つ人の後ろ姿
作品の前に立った瞬間(イメージ)

わたしはアート業界の人間ではありません。50歳を過ぎて、初めてアートを買いました。

それまで、アートにそれほど興味はありませんでした。作家の友達がいたり、アートの世界にいたりしなければ、触れる機会は少ないのです。

初めて実物の作品の前に立ったとき、原画の力を思い知らされました。一目惚れでした。

一般の人にも、欲しいと思えば買えるお金はあります。とても高い作品は無理でも、一般的な価格の作品なら買える人はたくさんいます。

あとで振り返ると、出会うまでに長い時間がかかりすぎたと感じます。一般の人には、アートに出会う場所が少ない。これが、業界の外にいたわたしの実感です。

見られずに作り続けている作家の中にも、本当に素敵な作品を描く人はたくさんいるはずです。まだ、見る人のいる場所に届いていないだけです。

足りないのは、アートを見てもらえる環境です。その環境は、これから一緒につくっていけます。

見てもらえない時間を、自分の作品のせいにしないでください。作品が悪いのではなく、出会いの機会がまだ足りていないのです。

作品の前に立つ人が、
まだ現れていないだけ。

数字で答え合わせ:見る機会は、減っている

この感覚を、数字で確かめます。文化庁の調査で、2022年と比べて文化芸術を見る頻度が変わったかを聞いています。

頻度が「減った」と答えた人は16.3%でした。「増えた」の12.1%より多くなっています。

見る機会が減っている人がいる。50歳を過ぎるまでのわたしのように、まだ出会っていないだけの人も、きっといるはずです。

「一般の人は、アートに出会う場所が少ない」という感覚は、一部当たりです。見る機会が減っている人がいることは確かめられました。ただ、出会う場所の数を測った全国の調査は、見つかりませんでした。

見る人がいる場所は、ギャラリーの中だけではありません。カフェ、美容室、病院の待合室、ホテルのロビー。ふだんの暮らしの中に、作品と出会う人がいます。

見る人が増えれば、作り続ける力も変わります。感想が届き、問い合わせが届き、次の作品を待つ人が生まれるからです。

部屋の隅で眠っていた作品が、誰かの玄関や仕事場に飾られる。その知らせが1つ届くだけで、次に筆を取る理由ができます。

つらさの原因は、作品の外にあるのかもしれません。見る人のいる場所と、まだつながっていないだけなのです。

見てくれる人が1人いれば、
次の1枚が描ける。

7ARTSで、一緒にできること

明るいカフェの白い壁に飾られた作品を、コーヒーを手に眺める人の後ろ姿
ふだんの場所で、作品と人が出会う(イメージ)

7ARTSは、作品を見てもらえる場所を、作家のみなさんと一緒に増やしています。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、時間や場所に関係なく、誰でも見ることができます。見た人からは、購入やオファーが届きます。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

見た人が、作品を自分の部屋に飾った姿を想像できる。言葉の違う人にも、作品が届く。こうした仕組みは、見る人の数を増やすための入口です。

福岡のギャラリーでは、通りから見える店先で作家の作品を紹介しています。モン・サン=ミッシェルでは展覧会を開き、世界から訪れる人に作品を見てもらいました。

ただ、ページを作っただけでは、見る人は増えません。どの作品を、どんな言葉と一緒に見せるか。そこは作家自身が決めるところです。

一人で見る人を探すのは、長い道のりです。見てもらう場所づくりは、7ARTSと一緒に進めましょう。

ひとりの部屋から、
誰かの目の前へ。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。部屋にある作品を数える、いちばん見てほしい1点を選ぶ、その1点を人の目に触れる場所に置く
今日、作家がやること

まず、部屋にしまってある作品が何点あるか、数えてみてください。描き上げてから、誰にも見せていない作品です。

次に、その中から、いちばん見てほしい1点を選びます。迷ったら、描いていていちばん楽しかった作品でかまいません。

見てもらう1点が決まれば、添える一言も考えやすくなります。どこに飾ってほしいか、なぜ描いたのか。短い言葉で十分です。

最後に、その1点を人の目に触れる場所に置きましょう。自分のページに載せる、知り合いのお店に飾らせてもらう。どちらでもいいのです。

1点が誰かの目に触れた日から、作り続ける時間の意味が変わります。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)