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作家の悩み百選 No.100

制作中のけがや、画材の体への影響

「制作中のけがや、絵の具の体への影響が心配」。長く作り続けるために、アトリエで今日から見直せることをまとめます。

窓から昼の光が入る明るいアトリエに、画材と描き上げた作品が並んでいる

こんな心配はありませんか

「制作中のけがや、絵の具の体への影響が心配」

彫刻刀で指を切った。重い材料を持ち上げて、腰を痛めた。そんな小さなけがは、作家なら一度は経験があるかもしれない。

絵の具や溶剤のにおいが、閉め切ったアトリエにこもる。何年も吸い続けて大丈夫なのか、ふと不安になる。

目の疲れや肩のこりも、気づけば当たり前になっている。痛みがあっても、締め切りが近ければ、手を止められない。

ここで、ひとつ考えてみてください。あなたの体は、作品と同じくらい大切にされていますか。

作品に夢中になると、体のことは後回しになりがちです。けれど、手も目も腰も、制作を支える大切な道具です。

作品を生むのは、
あなたの体。

道具なら、手入れをします。刃を研ぎ、筆を洗い、絵の具のふたを閉めます。体にも、同じように手入れが必要です。

あなたは、アトリエの中で、体を守る工夫をしていますか。

後回しにすると、どうなるか

制作中のけがや、画材による体の不調がどれくらい起きているか。作家を対象にした全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、多くの作家が、アトリエで刃物や重い材料、絵の具や溶剤と向き合っていることは確かです。

けがや体の不調は、誰にとっても他人事ではありません。手を傷めれば、筆も彫刻刀も握れなくなります。においの強い溶剤を、換気の悪い部屋で長く使い続ければ、体に負担がたまっていきます。

小さなけがでも、手が使えなくなれば、制作は止まります。展示の予定があれば、間に合わなくなることもあります。

けがで休む間にも、展示の予定やお客さんとの約束は待ってくれません。準備が遅れれば、作家としての信頼にも関わってきます。

体の不調は、少しずつ進むことがあります。気づいたときには、長く休まなければならなくなっているかもしれません。

作家にとって、休む時間が長引くほど、作品の生まれない日が増えていきます。

一人で制作していると、けがをしても気づいてくれる人がいません。だからこそ、自分で自分を守る決めごとが要るのです。

どれだけの作家が体を守る工夫をしているのか。それを示す数字はありません。だからこそ、一人ひとりが自分で決めておく必要があります。

体を守ることは、
作品を守ること。

作家の方からよく聞く場面

窓が開いた明るいアトリエで、色鮮やかな作品の横に画材が整えて並べられている
空気の通るアトリエ(イメージ)

ここでお話しするのは、作家の方からよく聞く場面です。

展示の前は、夜遅くまで制作が続く。窓を開ける間も惜しんで、においのこもった部屋で描き続ける。

疲れた手で刃物を使い、思わぬけがをする。手が治るまで、制作を休むしかなくなる。

においの強い画材を長く使い続けて、頭が重くなる日が増えた。それでも、展示を前に窓を開けるのを忘れてしまう。

わたしは業界の外から来た人間です。外から見ていて、ずっと思っていることがあります。売れていない作家にも、本当に素敵な作品を描く人がたくさんいる、ということです。

その作品が、まだ新しい市場に届いていません。新しい市場に届けるための試みは、これからどんどん進めていきます。

そして、本当にアートで生きていきたいなら、作家自身が本気にならないとだめだ、とも伝えたいのです。

ここからは、一般的な話です。無理を重ねて一度に仕上げるより、体を守りながら作り続ける。その積み重ねが、作家としての長い道のりを支えます。

長く作り続けることも、
作家の力のひとつ。

答え合わせ:作品が届くまで、走り続けられるか

この感覚を、数字で確かめようとしました。

けれど、作品が新しい人に届くまでに、どれくらいの時間がかかるのか。それを測った全国の調査には、たどり着けませんでした。

「素敵な作品が、まだ新しい市場に届いていない」という感覚は、今回は確かめられませんでした。ただ、新しい人に作品を届ける道は、一朝一夕にはできません。

作品が多くの人に届くまでには、時間がかかります。その時間を走り続けるには、作家の体が元気であることが何よりの土台です。

体を守る工夫ができれば、展示の前も無理をせずにすみます。けがで制作が止まることも減り、作品を届ける時間を長く持てます。

体が整えば、気持ちにも余裕が生まれます。その余裕は、作品の仕上がりにも表れていくはずです。

体を守る決めごとは、一度つくれば毎日の習慣になります。習慣になれば、意識しなくても体を守れるようになります。

届ける時間を、
長く持てる体で。

7ARTSで、一緒にできること

明るい木の作業台の上に、手袋と整えられた画材、描き上げた色鮮やかな作品が置かれている
体を守る準備が整ったアトリエ(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。制作中のけがや、画材による体への影響を防ぐ仕組みは、7ARTSにはありません。

そのうえで、作家が今日からできることをお伝えします。

1つめは、使っている画材のラベルや説明書きを読み直すことです。換気や手袋など、使うときの注意が書かれていることがあります。

2つめは、においのする画材を使うときは、窓を開けて空気を入れ替えることです。

3つめは、刃物や重い材料を使う作業を、疲れた時間に入れないことです。手元を明るくするだけでも、けがの元は減らせます。

4つめは、作業のあとに手を洗い、使った道具を片付ける習慣をつけることです。画材が手や机に残ったままだと、知らないうちに体に触れ続けてしまいます。

体に不調を感じたら、我慢せずに医師に相談してください。画材の成分や使い方で分からないことは、画材の会社の問い合わせ窓口に聞くこともできます。

ラベルを読む、窓を開ける。
小さな工夫から。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。画材のラベルを読む、アトリエの空気を入れ替える、危ない作業の時間を決める
今日、作家がやること

今日は、いちばんよく使う画材を1つ選んで、ラベルや説明書きを読んでみてください。

使うときの注意が書いてあれば、紙に書き写して、アトリエの見える所に貼っておきます。

最後に、刃物や重い材料を使う作業を、1日のどの時間にするか決めてください。体を守る決めごとが1つあるだけで、制作はぐっと続けやすくなります。

貼り紙は、目に入るたびに思い出させてくれます。体を守る習慣は、こうした小さな仕掛けから育っていきます。

ひとつ決めごとが根づいたら、次の決めごとを1つ足してください。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 作家の数:文化庁資料(2020年)/ギャラリー・画商などの数:文化庁「The Japanese Art Market 2025」(2024年時点・骨董店なども含む)
  • 作品を買ったことがある人の割合(約16%):「日本のアート産業に関する市場調査2018」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(2019年3月4日発表・約2万人を対象)