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作家の悩み百選 No.098

買った人から、返品したいと言われた

「買った人から、あとで返品したいと言われた」。気持ちよく作品を手渡すために、売る前に決めておきたいことを考えます。

明るい部屋で、紙に包まれた作品を開く人の手元

こんな経験はありませんか

「買った人から、あとで返品したいと言われた」

喜んで買ってくれたはずの人から、数日後に連絡が来た。「部屋に置いてみたら、思っていたのと違った」と。

作品が否定されたようで、胸が痛む。返品を受けるべきか、断っていいのか。決めごとが何もなく、返事に迷ってしまう。

せっかく作品を迎えてくれた人と、気まずい別れ方をしたくない。その気持ちが強いほど、どう答えればいいのか分からなくなります。

ここで、ひとつ考えてみてください。「思っていたのと違った」は、作品の問題でしょうか。それとも、伝え方の問題でしょうか。

多くの場合、作品の力が足りなかったのではありません。買う前に思い描いた姿と、届いた姿にずれがあったのです。

ずれを埋めるのは、
買う前の伝え方。

色の見え方、大きさの感じ、部屋の光。売り場で見たときと、自分の部屋で見たときとでは、作品の印象が変わることがあります。

あなたは、作品を手渡す前に、返品の決めごとを伝えていますか。

決めごとが無いままだと、どうなるか

作品の返品がどれくらい起きているか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、近い数字はあります。仕事を受けるフリーランスへの国の調査で、納めた物を「返品されたことがある」人は4.0%でした。作家に限った数字ではありません。

数は多くありません。けれど、ゼロでもないのです。決めごとが無いままだと、いざ言われたときに、どう答えればいいか分からなくなります。

部屋に飾るために買う人は、自分の部屋に置いた姿を思い描いています。衝動的に買った人も、家に帰って冷静になることがあります。

思い描いた姿と違えば、「返したい」という気持ちが生まれても不思議ではありません。

とくに、サイトで作品を見て買う人は、実物を見ないまま決めています。色や大きさの感じが、届いてから違って見えることもあるでしょう。

返品を受ければ、作品が傷んでいないか、送料は誰が持つのかなど、確かめることも増えます。

決めごとが無いままだと、そのたびに作家が一人で悩み、相手との関係もぎくしゃくします。受けても断っても、気持ちにしこりが残ります。

返品の申し出そのものより、その場で決めなければならないことが、両方を苦しめるのです。

一度こじれると、その人は二度と作品を買ってくれないかもしれません。作家自身も、売ることに臆病になってしまいます。

苦しいのは返品より、
決めごとが無いこと。

外から見てきた、わたしの感覚

明るいリビングの白い壁に作品を当てて、飾る位置を確かめる人の後ろ姿
買う前に、飾った姿を思い描く(イメージ)

わたしは業界の外から来た人間です。外から見ていて、ずっと感じていることがあります。

洋服は、服だけを撮った写真では売られていません。モデルが着た姿を見て、人はその服が欲しくなります。

ところがアートは、作品だけを展示して販売していることが多い。それでは、暮らしの中でどう見えるかが伝わりません。

玄関に飾った姿、カフェに飾った姿、ホテルのロビーに飾った姿。それを見るからこそ、この作品を飾りたいと思うのです。

見せ方を工夫し、心を込めて、買う方のことを考えて表現しているか。作家のみなさんに、そこに気づいてほしいと思っています。

そしてもう1つ。わたしの考えの基本は、ウィンウィンです。誰も嫌な思いをしない、みんなが喜べる形をつくることです。

ここからは、返品についての一般的な話です。飾った姿が買う前に見えていれば、「思っていたのと違った」は起きにくくなるかもしれません。

返品の決めごとは、断るための壁ではありません。お互いが安心して作品をやり取りするための、約束ごとです。決めごとを先に伝えておけば、買う人も安心しやすくなります。

飾った姿を見てから、
迎えてもらう。

答え合わせ:飾った姿は、返品を減らすか

この感覚を、数字で確かめようとしました。

けれど、作品を買った人が返品したいと思う理由を調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。

これから作品を買う人の多くは、初めて作品を迎える人です。部屋に置いたときの姿を思い描くことにも、まだ慣れていないはずです。

「飾った姿を見せれば、思っていたのと違う、が減る」。この感覚は、今回は確かめられませんでした。飾った姿を見せると返品が減るかどうかの数字は、見つからなかったからです。

買う前に飾った姿が見えれば、届いた日に「思っていた通り」と言ってもらえる見込みは高まります。決めごとを先に伝えておけば、迷ったときも落ち着いて話せます。

初めての1点で気持ちよく作品を迎えた人は、その作家のことを覚えていてくれるかもしれません。

返品の決めごとがはっきりしている作家からは、買う人も安心して買えます。迷ったときに相談できると分かっているからです。

思っていた通り、と
言ってもらえる手渡し方。

7ARTSで、一緒にできること

明るいダイニングの白い壁に飾られた色鮮やかな作品と、窓から入る昼の光
部屋に置いた姿が、思っていた通りに(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。返品の決めごとを、作家の代わりに決める仕組みはありません。返品の手続きを引き受けることもできません。

そのうえで、「思っていたのと違った」を減らすために、一緒にできることがあります。

買う前に、部屋やお店に飾った姿を確かめられる仕組みがあります(解決策1 飾ってみて)。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、写真や説明を、買う前にじっくり見てもらえます。

作品証明書もあります。作品に添えれば、作品の確かな記録が残ります。

作品の写真は、昼の光の下で撮った物を載せておくと、届いたときとの差が小さくなります。大きさが分かるように、身近な物と並べた写真を添えるのもよいでしょう。

返品を受けるかどうか、どんな条件で受けるかは、作家が決めることです。売る前に、その決めごとを文にして伝えておきましょう。法律に関わる部分は、弁護士など専門家に相談してください。

決めごとは先に。
飾った姿は、もっと先に。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。返品の決めごとを1文で書く、法律に関わる所を専門家に確かめる、売る前に伝える
今日、作家がやること

今日は、返品についての自分の決めごとを、1文で書いてみてください。

受けるのか、受けないのか。受けるなら、どんな場合に、何日以内か。今の考えをそのまま書いてかまいません。

書いた文は、法律に関わる所だけでも、専門家に一度確かめてもらうと安心です。

そして、作品を売る前に、その1文を相手に伝えてください。先に伝えた決めごとは、作家と買う人の両方を守ります。

決めごとは、一度書いたら終わりではありません。実際に売ってみて、迷った所があれば、そのたびに書き直していきましょう。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • フリーランスの取引:公正取引委員会・厚生労働省「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)結果 概要」(2024年10月)