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作家の悩み百選 No.053

地方にいて、東京の画廊は遠い

「地方に住んでいて、東京の画廊に足を運べない」。ギャラリーが集まる場所の数字と、地方にいても作品を届ける方法を考えます。

窓の外に緑が見える明るい地方のアトリエに、描き上げた作品が並んでいる

こんな距離を感じていませんか

「地方に住んでいて、東京の画廊に足を運べない」

東京の画廊で展示ができれば、見てもらえる人が一気に増えるかもしれない。そう思っても、往復の交通費と時間を考えると、簡単には動けません。

作品を持ち込んで相談するにも、搬入や在廊で上京するにも、仕事や家族との調整が要ります。気づけば、東京は遠い場所のままです。

ここで、ひとつ考えてみてください。作品を見てほしい人は、東京の画廊の中にだけいるのでしょうか。

あなたの作品を気に入ってくれる人は、同じ地方にもいるはずです。まだ行ったことのない、遠い国にもいるかもしれません。

地方の作家だからこそ描ける景色や、土地の色があります。それが、東京に行けないというだけで、見てもらう前に閉じこめられてしまうのです。

見てほしい人は、
東京の外にもいる。

あなたは、東京に行けないことを理由に、作品を見せる機会まであきらめていませんか。

東京に行けないままだと、どうなるか

まず、作品を見に行けない人の理由を見てみます。文化庁の調査で、この1年に文化芸術を外で見なかった人に聞いたものです。

見に行かなかった理由のグラフ。関心がない23.6%、近所でやっていない15.6%、入場料・交通費がかかり過ぎる14.0%

いちばん多いのは「関心がない」の23.6%でした。

その次が、「近所で公演や展覧会などが行われていない」の15.6%です。

見る側にとっても、展示は遠いのです。地方に住む人ほど、近くで作品に出会う機会は少なくなります。

作り手も、見る人も、東京から遠い。地方の作家にとっては、見せる入口も、見に来てもらう入口も、遠いということです。

東京に通える作家と、通えない作家。作品の力とは関係のないところで、見てもらえる機会に差が出てしまいます。

東京で展示をするとなれば、作品を送る手間も加わります。地方の作家にとって、1回の展示にかかる負担は、それだけ重くなります。

その差は、待っていても縮まりません。東京に行く日を待つ間にも、作品は地方のアトリエで増えていきます。

作品の力とは別のところで、
機会の差が生まれている。

外から見て、つくりたかったもの

緑の見える明るい地方のアトリエで、色あざやかな作品の前に立つ人の後ろ姿
地方のアトリエから、作品を届ける(イメージ)

わたしはアート業界の外から来た人間です。7ARTSのサイトをつくるとき、ずっと考えていたことがあります。

日本はこれから、円安が続くかもしれません。だからこそ、海外に目を向けるべきだと考えました。

けれど、作家が海外に出ていくのは、とても大変です。費用も危険も大きく、誰にでもできることではありません。

そこで、日本にいながら、海外の人に作品を届ける仕組みをつくりました。作家は日本で制作に打ち込み、売り先は世界に向けて広げていく。それが、7ARTSのサイトに込めた考えです。

日本にいながら海外へ届けられるのなら、地方から全国へ届けることも、できないはずはありません。

地方に住んでいることは、作品の弱みではありません。作品を見てもらう場所が、近くにないだけです。

動けなくても、
作品は遠くまで届けられる。

数字で答え合わせ:美術館が近くにない人は、半分以上

では、地方の人は、作品と出会う場所をどれくらい持っているのでしょうか。数字で確かめます。

同じ文化庁の調査で、自宅から1時間30分以内に美術館へ行けると答えた人は47.1%でした。

半分以上の人は、美術館が身近にありません。けれど、その人たちも全国の町で暮らし、作品と出会う日を待っているのかもしれません。

地方ごとに作品を買う人の割合を比べた数字は、見つかりませんでした。「地方にいても作品は届けられる」という感覚は、一部当たりです。

それでも、作品と出会う場所が足りない人が全国に大勢いることは確かです。作品のほうから、その人たちのいる場所へ届ける道は開けています。

あなたの住む町の隣の家にも、まだ作品と出会っていない人がいるかもしれません。届け方さえあれば、そこも立派な売り先になります。

住んでいる場所で、作家としての可能性が決まるわけではありません。地方のアトリエから、全国へ、海外へ。作品の行き先は、住所に縛られなくなっていきます。

住んでいる場所で、
可能性は決まらない。

7ARTSで、一緒にできること

明るいギャラリーの店先のガラス越しに、色あざやかな作品が並んで見える。通りを歩く人の後ろ姿
通りから作品が見える店先(イメージ)

7ARTSは、地方にいる作家も、作品を遠くまで届けられる場所を、一緒につくっています。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、住んでいる場所に関係なく、サイトから購入やオファーが届きます。

オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。上京しなくても、作品への声を受け取れます。

作品への声は、まずサイトを通して届きます。会って話すのは、その先で必要になったときでかまいません。

サイトは5か国語で表示できます。地方のアトリエにいながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

福岡のギャラリーでは、通りから作品が見える店先で、作家の作品を紹介しています。東京だけが、作品を見てもらう場所ではありません。

ただ、どの作品を、どんな言葉で紹介するかは、作家自身が決めるところです。地方の暮らしや風景が作品に込められているなら、それは大きな魅力になります。

地方にいることも、
作品の物語になる。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。上京しないと見せられないと思っていた作品を選ぶ、作品にこめた土地の話を書く、作家ページに載せて遠くの人に届ける
今日、作家がやること

まず、「東京で見せたい」と思っていた作品を1点選んでみてください。

次に、その作品が生まれた土地のことを、短い言葉で書いてみてください。窓から見える山や海、季節の光など、あなたの暮らしの中の景色でかまいません。

最後に、その言葉を添えて、作品を作家ページに載せてみてください。作品が遠くへ旅立つ日は、上京する日を待たずにやって来ます。

土地の話は、短い言葉でかまいません。数行の言葉が、遠くの人にとっては、作品の生まれた場所を思い描く窓になります。

東京に行く日は、行けるときに来ます。その日を待つ間も、作品は地方のアトリエから遠くの誰かに見てもらえます。

載せた作品に声が届いたら、その土地の話を、もう少しくわしく書き足してみてください。作品と土地の物語が、少しずつ育っていきます。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)